就実の丘からの景色が冬色になる12月。
旭川市在住の斉藤裕太さん(60歳)からご依頼をいただく。
裕太さんは53年前に父と旭川市内の団地に住んでいた。
母は裕太さんが2歳のとき、病気で他界されていた。
その団地の隣に住んでいた田中さん家族を探したいという内容であった。
裕太さんの父が先月亡くなり、そのとき父が保存していた裕太さんの幼少期に書いた日記を発見した。
日記には、「今日は田中さんの家でカレーライスを食べさせてもらった」「トシにーちゃんにオヤツをもらった」
「田中さんのおばさんにチョコレートをもらった」「田中さんの家に泊まった」 等など、
田中家にお世話になっていたことがたくさん書かれていた。
裕太さんの父は建設作業員で現場によっては、帰宅が遅くなる時もあった。
そのときは、いつも田中家にお世話になっていた。
その後、裕太さんと父は、父の実家がある深川に引っ越しをした。
父も亡くなり、自分の過去を振り返るとき、子供の記憶ながら、田中家への感謝がこみあげてきた。
裕太さんが子供の頃に住んでいた団地はすでに取り壊され、住宅地になっていた。
当時の記憶を頼りに自分なりに探してみたが、7歳の頃の記憶では無理だった。
市営団地だったため、市役所にも相談に行ったが、個人情報のため、お話はできないとのことだった。
そして、裕太さんは当社を訪れ、田中さん家族の所在調査(人探し)を依頼された。
探偵がさっそく調査を開始する。
調査はとても難航したが、2か月後、田中さん家族の情報が判明した。
トシにーちゃんこと、田中敏夫さん(68歳)の自宅が判明した。
探偵が敏夫さんを訪ね、調査の経緯をお話させていただく。
敏夫さんも「ゆーちゃんが探してくれていたのか?」と懐かしみ、喜んでくれた。
敏夫さんから「父は10年前、母は昨年に亡くなっています」と聞いた。
以上を依頼人である裕太さんに報告させていただく。
裕太さんはすぐに敏夫さんの家にうかがう。
裕太さんの自宅は近文、敏夫さんの自宅は春光、車で5分の場所だった。
裕太さんが敏夫さんの家にうかがうと、敏夫さんは目を細めて「ゆーちゃんかい?」と何度も言ってくれた。
そして「よく訪ねてくれたね、ありがとう」「お互い、年取ったな」と喜んでくれた。
敏夫さんから、田中さんのお父さん、お母さんのお墓を聞き、日曜日に裕太さんはお墓まりに行かれたそうです。