札幌市に在住の木下 良子さん(62歳)から当社無料電話相談室にお電話を頂いたのは札幌に初雪が降った11月であった。
内容は次男 直人さん(28歳)を探してほしいとのご相談であった。
良子さんは9年前にご主人と離婚をした際、長男、次男がご主人と残り、
良子さんは、三男、長女と共に家を出たのであった。
その後良子さんは、2つの仕事を掛け持ち、朝早くから夜遅くまで仕事をして
生活を維持してきたようだ。
それから5年後、別れた元夫から連絡があり、直人さんが家出をしたとのこと。
既に1ヶ月間全く連絡が無く、手がかりもないとのこと。
その連絡を受け、良子さんも必死に探したそうである。
だが、全く直人さんの居所は分からなかった。
さらに2年後、良子さんが朝の仕事を終えた帰り道、大きな交差点の陸橋を渡っている時、偶然にも下を歩いている直人さんを見かけたそうだ。
着ているジャンパーが、離婚の時に良子さんが直人さんに買ったものであった。
「間違いない、直人だ」と思った良子さんは急いで陸橋を渡り、直人さんを追いかけたのだが雑踏の中、見失ってしまった。
その後、良子さんは時間をみつけてはその陸橋に立ち続けたが、
直人さんを見つけることはできなかった。
その時点で探偵社に調査の依頼も考えたそうだが、ギリギリの生活をしている良子さんに調査費用の余裕はなく諦めていたようである。
良子さんは更に仕事を増やし、調査費用を貯めていたそうである。
その2年後、知人に当社を紹介されご相談を頂いた。
良子さんの想いを受け止め、早速の調査開始となった。
まず、良子さんに直人さんの住民票を取得してもらう。
失踪後の9年間、全く住民票は移動をされていない。
探偵も知りえる限りの情報を元に友人、知人に聞き込みをする。
また様々な探偵調査を行う。
1ヵ月後、室蘭市で働いているとの情報が入る。
早速、探偵が室蘭市へ確認に向かう。
直人さんが勤めているであろう会社付近で張り込みを開始する。
夜7時、会社から出てくる直人さんを確認。
そのまま尾行し、直人さんのアパートを確認する。
翌日、良子さんを伴って再び室蘭へ。
昨日と同じ、夜7時に勤務先から出てくる直人さんを確認し、良子さんが駆け寄る。
一瞬走り去ろうとする直人さんであったが、良子さんの呼びかけに立ち止まった。
直人さんの振り返った顔は涙でいっぱいであった。
その後、直人さんの話では9年前、両親が離婚をし、良子さんが出て行った時、
自分は母親に捨てられたとの想いがあったようだ。
また、その時に働いていたアルバイトも人員整理のため辞めさせられた。
何もかもが嫌になり、札幌を出て室蘭に来たようだ。
以前、良子さんが札幌の陸橋から見かけた時は、たまたま札幌に買い物に来ていたときで、すぐに室蘭に帰ったそうだ。
良子さんが「夫婦は離婚しても、あなたの母親はこの世で私だけなの」と泣きながら言った言葉が、探偵に母親の想いを教えてくれました。