旭川駅に粉雪が舞う12月。
旭川市在住の浅田久美さん(35歳)から夫 勇作さん(34歳)の調査を依頼される。
浅田家は久美さん、勇作さん、長男 隼人君(4歳)の3人家族。
勇作さんは会社員、久美さんは看護師として働かれている。
3か月ほど前から勇作さんの帰宅時間が遅くなり、休日も仕事といって外出する。
そして、久美さんが一番に不審に思ったのが、「ニオイ」であった。
勇作さんの上着からコロンのニオイがする。
また、常にスマホを離さず、LINEをしていた。
当初、久美さんはさほど気にしていなかった。
ある日、隼人君が保育園で熱を出し、久美さんが迎えに行った。
熱が下がらず、勇作さんに連絡をする。
だが、勇作さんは「今日は仕事で遅くなるから、君が病院に一人で連れてってくれ」と返事をしてきた。
幸いにも隼人君の熱は大事に至らず、お薬を飲んで落ち着いた。
その日、勇作さんの帰宅は23時、やはり「ニオイ」がついていた。
久美さんは翌日、探偵に依頼された。
さっそく探偵が調査を開始する。
やはり勇作さんは浮気をされていた。
相手は勇作さんの取引先会社の従業員、安藤ひかるさん(27歳)。
勇作さんは18時過ぎには退勤し、神楽にあるひかるさんの家に行く。
そして、おそらくは夕食をひかるさんの家で食べ、帰宅するのです。
おおむね状況が分かり、探偵は久美さんにこれまでの報告をさせていただく。
久美さんは想像はされていたが、この世で一番に信頼すべき夫の裏切りに戸惑っておられた。
最終の調査日は24日、イブの日。
24日の朝、久美さんは勇作さんにお願いした。
「今日はイブだから、隼人も楽しみにしているから早く帰ってきてね」と。
勇作さんは「分かった」と短く答えた。
久美さんはこれが最後のクリスマスになるのではとの思いがよぎっていた。
18時、勇作さんからLINEが届く。
「納品のミスがあり、仕事が終わりしたい、お客様に届けなくてはならない」
「少し遅くなるから隼人とケーキを食べていてくれ」と。
当日、探偵は勇作さんの会社の前で待機していた。
18時、勇作さんが会社から出てきて、自分の車に乗り、走りだす。
買物公園付近で勇作さんの車が停車、ひかるさんが助手席に乗り込み、走行を再開。
車は旭川で有名な洋食屋さんの駐車場に到着する。
二人は手をつなぎ、店へ入っていく。
探偵も後を追い、店に入るがイブの日のため、予約客しか対応できないと入店できなかった。
二人は予約していたのだろう。
その時点で勇作さんの状況を久美さんに連絡させていただいた。
久美さんは「分かりました」と小さな声で答えられた。
後ろで隼人君が「パパ、パパから電話?」と大きな声で話していた。
そのとき、久美さんは大きな決断をされた。
翌日、隼人君を連れ、実家に帰り、離婚について進めている。