テレビ塔が観光客でにぎわう6月。
札幌市在住の橋本久美さん(36歳)から夫 俊明さん(39歳)の調査を依頼される。
ご夫婦は長男(6歳)、二男(3歳)の4人家族。
俊明さんの職業は教員。
2ケ月ほど前から俊明さんの不審な行動が目立ってきた。
いつもは18時過ぎには帰宅するのだが、最近は早くても20時。
週末も出勤といって外出をする。
そして一番気になったのは、ニオイであった。
俊明さんは喫煙をするため、ワイシャツについているタバコのニオイにまぎれて、香水の匂いがする。
久美さんは悩んだ末に当社へ依頼をされた。
さっそく探偵が調査を開始する。
まずは俊明さんの退勤状況の調査をする。
18時、俊明さんが職場である小学校から車で走行を開始する。
ホームセンターの駐車場の端に車を止める。
既に止まっていた車から女性が俊明さんの車に乗り移る。
1時間後、先ほどの女性が車を降り、自分の車に乗り込む。
それぞれの車が走行を開始する。
その後も待ち合わせ場所は変わるが、同じパターンで接触していた。
相手の女性は石原朋美さん(26歳)、同僚の小学校教員。
朋美さんも既婚者だった。
そして、朋美さんの夫も教員であった。
決定的な証拠がないまま、調査は続いていた。
そこで、久美さんと協議し、俊明さんの車にボイスレコーダーの設置を行った。
車内の会話が聞ければ、二人の関係性が分かると考えた。
ボイスレコーダーを設置した翌日は土曜日、俊明さんは仕事をかたずけてくると外出する。
やはり朋美さんと合流した。
大型スーパーの駐車場で朋美さんを自分の車に乗せ、ホテルに入館する。
3時間後、俊明さんの車が出てきて、待ち合わせたスーパーの駐車場に行き、朋美さんを降ろす。
探偵は久美さんに当日の状況を報告させていただく。
翌日、久美さんは俊明さんに浮気を知っている事実を伝えた。
俊明さんは自分の浮気を認め、謝罪をした。
久美さんは俊明さんの謝罪を受け入れる条件として一つだけ要求をした。
朋美さんと直接、話をすること・・・・
俊明さんは朋美さんにその件を連絡することを約束した。
だが翌日、状況は一変した。
朋美さんが職場の教頭に自ら今回の騒動を伝えたのだった。
学年主任である俊明さんから強引に関係を迫られてしまった・・・と
あたかも自分が被害者であるように報告していたのであった。
おそらく、少しでも自分の立場を保全しようと考えていたのだろう。
俊明さんは愕然とした。
久美さんは俊明さんも許せないが、朋美さんにも怒りがこみ上げてきた。
幸い、ホテルに向かう最中のボイスレコーダーに音声が取れていた。
久美さんは直接、朋美さんに電話をかけ、ボイスレコーダーの音声を聞かせた。
「今日は楽しみだったよ」
「どこのホテルにしようか?」
「奥さんには怪しまれてない」など自分の声を効いた朋美さんは一言、「すみませんでした」と久美さんに謝った。
朋美さんは、もう一度、教頭のところに行って、前回の話は嘘であると伝えた。
俊明さんは、「最後に本当にすまなかった」、「そして助けてもらってありがとう」と
心から言っていたそうです。