幣舞橋に吹く風も春を感じる4月。
釧路市在住の吉本絵美さん(33歳)から、婚約者 佐藤実さん(39歳)の調査を依頼される。
絵美さんは看護師、実さんは本社が東京にある会社で、釧路支店に3年前に赴任していた。
実さんはバツイチ、子供はいないとのことだった。
そして2年前にマッチングアプリで知り合い、交際に至っている。
実さんは釧路で部屋を借りていたが、交際してからは、ほとんど絵美さんのマンションで過ごしていた。
昨年12月のクリスマスに実さんが絵美さんにプロポーズをしてくれた。
実さんは転勤族のため、結婚後は絵美さんが仕事を辞め、実さんの転勤についていくことになった。
年が明けて、実さんは東京への転勤辞令が出た。
3月末、実さんは一度、実家に荷物を送り、当面は実家に住みながら通勤をすることになった。
そして落ち着いた段階で絵美さんが東京に行き、結婚生活をスタートすることになっていたのだった。
3月28日、実さんが東京に行く。
4月の初旬までは毎日のように実さんから連絡がきていた。
4月中旬、実さんから一通の手紙が届く。
「今までありがとう」
「君と暮らしていた日々は僕の人生の宝物です」
「ありがとう、さようなら」・・・・と書かれていた。
絵美さんがその手紙を読み、あわてて実さんに電話をかけるが、
「現在、使われておりません」とアナウンスが流れる。
LINEも送れなくなっていた。
絵美さんは何がなんだが分からなくなってしまった。
実さんの会社に電話をしてみたが、「個人に関することはお答えできません」と言われたそうです。
絵美さんはやはり状況をハッキリと知りたいと当社へ依頼された。
探偵がさっそく調査を開始する。
実さんが実家に荷物を送っていたので、その控えが置いてあり、実家住所は分かっていた。
そして数日、探偵が実家を張り込むのだが、実さんと思われる人物の出入りはない。
その後、実さんの転勤した東京本社を張り込む。
その日、実さんが退勤してくるのを確認し、探偵が尾行をする。
実さんは江東区にあるマンションに入っていった。
翌日は土曜日、会社が休みのため、そのマンション前で探偵が張り込みを続けていた。
午後2時、実さんと女性、7歳くらいと思われる男の子の3人でマンションから出てきた。
徒歩で近所のスーパーに行き、買物をしてマンションに戻る。
まるで家族のようだった。
引き続き、探偵が調査を続ける。
全てが判明した。
家族のようだった・・・ではなく、家族だったのだ。
実さんは離婚などしていなかったのです。
釧路へ赴任の一年前、妻に浮気がバレて、実さんが実家に行く形で別居をしていた。
そして、今回東京に戻ることになり、妻と話し合い、やり直すことになったようだ。
つまり、浮気がバレて別居、釧路に赴任になって絵美さんと交際、東京に戻って妻とやり直す。
どう考えても、身勝手でしかない行動であった。
以上を絵美さんに報告させていただく。
絵美さんも想像を超えていた結果に唖然とされた。
絵美さんは弁護士を通じ、実さんとの協議に入った。