トラピスト修道院にも秋の足音が聞こだす10月。
北斗在住の小林美幸さん(35歳)から婚約者 佐々木雅哉さん(32歳)の調査を依頼された。
美幸さんと雅哉さんはSNSで知り合い、交際して1年。
美幸さんは看護師で函館の病院で働いている。
雅哉さんは函館市の会社に勤めている。
交際して半年後、雅哉さんからプロポーズをされた。
美幸さんもプロポーズを受け入れた。
その後、美幸さんと雅哉さんは結婚の話をいろいろとしていた。
雅哉さんは結婚後は函館市内の新築マンションを購入して、新居にしようと提案してきた。
美幸さんも同意をして、お互いに400万円づつを出し合い、800万円を頭金にしようとなった。
美幸さんは2ヵ月前、400万円を雅哉さんに渡した。
その後も交際は順調に続いていたが、1ヵ月前から雅哉さんと連絡が取れなくなる。
美幸さんも雅哉さんから聞いていた雅哉さんのアパートを訪ねるが別人が住んでいた。
聞いていた会社に電話をかけたが、「佐々木雅哉さんという方は当社にはおりません」とのこと。
ここで美幸さんは「アッ」と思った。
美幸さんは雅哉さんのアパートに行ったことがなければ、雅哉さんの身内、友人など誰一人と会ったことがない。
美幸さんは雅哉さんのことを何も知らなかった。
そして、騙されていた・・・と思った。
警察にも届けたが、「結婚詐欺としては状況的に不十分だ」と取り合ってもらえなかった。
そして、探偵に佐々木雅哉さんの調査を依頼された。
探偵がさっそく調査を開始する。
佐々木雅哉さんという人物は存在しなかった。
美幸さんが佐々木雅哉さんと思っていた人物は吉田将太さんという名前であった。
年齢は30歳、年齢も2歳違っていた。
仕事は水産会社の工場で働いていた。
そして、既婚者であり、3人の子供の父親でもあった。
以上を依頼人である美幸さんに報告させていただく。
美幸さんも名前、年齢が嘘だったのも驚いていたが、既婚者、3人の父親であることに憤っておられた。
美幸さんは弁護士に依頼し、雅哉さん(翔太)にマンション購入費用として渡した400万円の返済の民事訴訟を起こした。
また、探偵の資料を基に弁護士からあらためて警察に刑事告訴をされた。