麓郷の森に観光客が訪れる7月。
富良野在住の佐藤由美子さん(45歳)から実母の所在調査を依頼される。
由美子さんは高校入学のとき、両親から自分は養女であることを告げられた。
だが、そのときはそれ以上、両親に自分の出自を聞くことはしなかった。
日々、愛情を注がれて育った由美子さんにとって両親は紛れもなく「父」であり「母」であったそうです。
10年前に父が他界、昨年母が他界した。
ある日、ふと自分を産んでくれた人はどんな人なんだろう・・・と頭をよぎった。
そして市役所に行き、自分の戸籍を取ってみた。
戸籍には「佐々木佳代子より養子縁組」と書かれていた。
その先もたどってみようとしたが、自分では分からず、当社へ依頼をされたのであった。
さっそく探偵が調査を開始する。
由美子さんが自分で取得した戸籍を元に探偵が調査をおこなう。
1ヵ月後、佐々木佳代子さんの住所地が判明した。
滝川市の団地に住所があった。
数日、同団地に張り込みをおこない、佐々木佳代子さんの人定確認が完了した。
以上を依頼人である由美子さんに報告をさせていただく。
探偵が撮影した佐々木佳代子さんの写真を見て、由美子さんは「私に似てる」とポツリと言われた。
由美子さんは佐々木佳代子さんに手紙を書いた。
五日後、速達で由美子さんに返信がきた。
手紙には、「貴女を育てられなくてごめんなさい」と当時の状況が書いてあった。
44年前、佳代子さんは結婚しており、夫であり、由美子さんにとっては父親の佐々木史郎さんが急性の病で他界された。
当時、佳代子さんは夫の死を受け入れらず、精神的な病にかかり、由紀子さんを育てることができず、
縁があり佐藤家の養女となった・・・とつづってあった。
手紙の最後に「貴女が私を許してくれるなら、一度でよいので会いたいです」と書かれていたそうです。
由美子さんは手紙を読みながら、涙があふれてきた。
そして仏壇においてある両親の写真に手を合わせると、「会っておいで」と両親の声が聞こえたような気がした。
翌週の土曜日、由美子さんは滝川へ向かった。
そして佳代子さんの家を訪ねた。
その日は佳代子さんの家に泊まらせてもらい、44年分の話をされたそうです。
由美子さんは探偵に「調べてもらってよかった、これからは第二の親孝行に励みます」と笑顔で言っていただいた。