翠光園にも春風が吹く4月。
赤平市在住の伊藤明美さん(43歳)より、会ったことのない産みの親を探してほしいとの依頼をいただく。
明美さんは養女であった。
その事実を聞いたのは中学の卒業式の日。
3歳のときに養女としてむかえられたことを両親から聞いたそうです。
そして時が経ち、養父が5年前に亡くなり、昨年に養母が亡くなった。
明美さんは優しい夫、2人の子供にかこまれ幸せな日々を過ごしている。
だが、ときおり自分を産んでくれた母親の夢を見る。
そのことを夫に話をしたところ、夫は「探せるものなら探すべきだよ」と背中を押され、自分を産んでくれた母親を探すことにした。
役所に行き、自分の戸籍を取り、いろいろと確認してみたが、分かったことは母親が「佐々木文子」という名前だけだった。
その先が分からず、当社へ依頼をされたのだった。
さっそく探偵が調査を開始する。
調査を開始して1ヵ月。
佐々木文子さん(67歳)の所在が判明する。
文子さんは滝川の市営団地に住んでおられた。
探偵は調査結果を明美さんに報告させていただく。
3日後、明美さんは文子さんを訪ねた。
文子さんは驚くとともに「明美、よく来てくれたね」と大きな涙を流したそうです。
文子さんは明美さんが生まれた3ヵ月後、夫が急性の病で亡くなられてしまった。
まだ若い文子さんはショックで心の病気になってしまう。
そして知人の勧めもあり、明美さんを養女にだしたそうです。
1年後、病気も良くなり、何度も影から文子さんの様子を見に行っていたそうです。
それからは1年に数度、文子さんは明美さんの様子を見に行っていたそうです。
自分からは絶対に名乗れない、だがいつか明美さんと言葉を交わしたいと40年間、願っていたそうです。
明美さんと文子さんのこれからのさらなる幸せを願う探偵でした。