雄冬岬にも冬の足音が聞こえる11月。
石狩市在住の吉田由紀さん(37歳)から調査を依頼された。
調査の内容はストーカー調査、不審者の特定であった。
由紀さんは3ヶ月前では夫 木田孝二さん(39歳)と結婚していたのだが、孝二さんの浮気問題で離婚された。
そして離婚後、旧姓の吉田となった。
由紀さんは公務員、孝二さんは札幌の会社でシステムエンジニアとして働いていた。
結婚して8年、子供はいない。
孝二さんの勤務先は東京に本社があり、、離婚を機に東京本社へ移動を希望、了承を得て8月より東京勤務となった。
由紀さんは当面、今までのマンションに住み、来年の春に引越しを予定している。
2ヵ月ほど前からメールボックスから郵便物が抜き取られるなどの被害が続いていた。
また、家に侵入されている痕跡もあった。
由紀さんは直感的に孝二さんを疑ったが、孝二さんは東京に住んでいる。
先日は明らかに郵便物が開封され、それをまた糊付けされていたものを発見する。
やはり事実を確認するため、探偵に調査を依頼されたのであった。
さっそく探偵が調査を開始する。
調査3日目、午後2時に犯人は現れた。
まずはメールボックスを物色し、その後はオートロックを解錠してエレベーターに乗り込み、5階の由紀さんの部屋へ入っていった。
由紀さんの部屋には遠隔カメラを設置しているため、室内の様子は分かった。
その映像を確認したところ、孝二さんであった。
それを確認し、探偵は由紀さんに連絡を取り、勤務先を早退してもらい、マンションに戻ってもらった。
念のため、警察に通報し、警察官に来てもらい、由紀さんと警察官が部屋へ入っていく。
探偵は逃亡に備え、探偵車両で待機する。
5分後、由紀さんと孝二さん、警察官がマンションから出てきた。
孝二さんはパトカーに乗せられ、由紀さんは探偵車両で警察署へと向かった。
そして様々な事実が分かった。
孝二さんは東京へ転勤などしていなく、札幌で部屋を借り、札幌支店で継続して勤務していた。
離婚後、由紀さんのことが気になり、由紀さんに鍵を渡す前にスペアキーを作っていたのだった。
由紀さんは警察官に被害届を出しますか?と問われたが、被害届は出さず、警察からの厳重注意としてもらった。