七重浜海水浴場にも人影がなくなる9月。
北斗市在住の石田伸二さん(48歳)からご相談をいただく。
伸二さんは北斗市の水産工場に30年間勤務している。
両親と暮らしていたが、5年前に父、3年前に母が亡くなり、一人暮らしをしている。
伸二さんからのご相談は、友人女性 佐々木杏さん(32歳)の安否確認についてであった。
伸二さんは1年前、マッチングアプリを通じて杏さんと知り合った。
杏さんは函館市在住、事務職として働いているとのこと。
伸二さんは杏さんに頼まれ、知り合ってから1500万円ほどのお金を渡していた。
理由は様々・・・・。
交通事故を起こしてしまい、相手への損害金を支払わなければ、訴えられてしまう、220万円を貸してください。
母親の借金を返すために風俗店で働かなければならない、だから100万円を貸してほしい。
友人の保証人になってしまい、友人が逃げてしまった、払わないと裁判を起こされてしまう、200万円を用意してほしい。
詐欺に騙されてしまい、お金がない、10万円を送金してほしい。
財布を落としてしまい、そしてカードが不正に利用され、清算をしなけばならない、100万円を貸して。
伸二さんは両親の残してくれたお金、自分で貯金したお金1200万円をすべて渡してしまう。
伸二さんは杏さんに「僕のお金が全部なくなりました、これ以上、君を助けられないんだ」と告げた。
そして、2週間前に婦人科の病気が見つかり、至急手術をしなければならない、入院前にお金を用意する必要があるため、300万円が必要。
伸二さんはもう貯金が底をついてしまい、杏さんに少し待ってほしいと返事をする。
だが、杏さんは手遅れになってしまう・・・と伸二さんをせかす。
伸二さんは、車を売り、消費者金融から借金をしてお金を用意した。
伸二さんは急いで300万円を杏さんのいつもの口座に送金した。
だが、その後杏さんと連絡が取れなくなってしまう。
伸二さんは杏さんの病状が良くないのではないか? と心配でならなかった。
そして探偵に相談をされたのだった。
探偵は伸二さんにハッキリと告げました。
「アナタはその女性に騙されていますよ」・・・・と。
だが、伸二さんは「僕が騙されているのなら、杏さんは病気ではないということですよね」と言われる。
伸二さんは強く調査を要望された。
探偵は伸二さんがこれ以上、何らかの被害にあわないようにとご依頼をお受けさせていただく。
じつは伸二さんは杏さんと一度も会ったことがない。
北斗と函館、会おうと思えばいつでも会える距離。
伸二さんが「函館で会いましょう」と言うと「その日は都合が悪いの」と言われる。
ある日、五稜郭で待ち合わせをしたのだが、時間になっても杏さんは来ない。
伸二さんが連絡をすると、杏さんは「風邪をひいて寝ていたの」ということもあった。
一度、伸二さんが杏さんに頼まれてネットギフトカードを郵送したことがあった。
金曜日の夜、急にお金が必要になったと杏さんから連絡がある。
「ギフトカードを速達で送って」と言われたことがあり、その住所は知っていた。
探偵がさっそく調査を開始する。
ギフトガードを送った住所に探偵がおもむく。
住所地には6階建のマンションがあり、住所の記載に605号とあったため、6階の605号室であることが分かった。
探偵は杏さんがスマホに送信してきていた写真を伸二さんから転送してもらっていた。
同マンション付近にて探偵が張り込みを続ける。
2日目の午後、杏さんらしき人物がマンションから出てきて、駐車場の一台の車に乗り込み、走行を開始する。
探偵はその車を尾行する。
車は保育園の前に止まり、園内に杏さんが入っていく。
女の子を連れた杏さんが出てきて、車に乗り込み、マンションへと戻った。
その後も探偵は調査を続ける。
全てが判明した。
名前は聞いていた佐々木杏、だが年齢は38歳、仕事はしていない。
また既婚者であり、女の子が一人いる。
当然、病気でもなく、伸二さんに言っていた内容は全てが嘘だった。
探偵は依頼人である伸二さんに報告をさせていただく。
探偵の報告を聞いた伸二さんの最初の言葉が「それはよかった、病気ではなかったんですね」
探偵は「弁護士に相談し、お金の返済要求をしましょう」と何度も勧めたが、
伸二さんは「いいんです、僕の始めての恋が終わりました、これですべて終わりにします」と何度もうなずいていた。
探偵は伸二さんのこれからの幸せな人生を強く願った。