まだまだ暑さが厳しい8月。
青森市在住の佐藤由伸さん(42歳)からご相談をいただく。
由伸さんは20年前、北海道札幌の大学に通っていた。
そして大学3年生のとき、同級生の鈴木真美さん(42歳)と交際をしていた。
卒業までの一年間、交際していた。
卒業後、由伸さんは家業の不動産会社で働くため、青森市に戻っていく。
真美さんは実家のある帯広市で就職をすることになる。
青森市と帯広市で遠距離恋愛を続けていたが、互いに仕事も忙しく、会うこともできない。
3月に大学を卒業し、8月にはお互いに話し合い、別れることにしたのだった。
そして、2人は一つの約束をした。
「お互いに30歳のとき、独身で恋人がいなければ、連絡を取ろうと・・・」
「だから携帯電話の番号は変えないようにしようね」・・・・と。
それから20年の歳月が流れた。
由伸さんは、あれから恋人はできたが、結婚へは至らず、独身だった。
30歳のときも独身ではあったが、恋人がいたため、真美さんへ電話をしなかった。
由伸さんの父は3年前に他界され、由伸さんが後を継ぎ、社長となった。
仕事も落ち着き、思い出されるのは真美さんの笑顔だった。
「結婚して、幸せになっているのだろう」と願っていた。
でも、ときおり「もしかしたら、辛い状況で過ごしているのではないか?」と思うときもあった。
由伸さんは探偵に「真美さんが今、幸せで元気に暮らしているのか」を見てきてほしいと依頼をされた。
探偵は由伸さんに「真美さんの生活を確認してくることは可能ですが、真美さんの住所や個人情報などは教えられません」と確認をさせていただく。
由伸さんは「もちろん、住所などの個人情報は知らなくてもいいです、ただ幸せなのか?だけを教えてください」
そして「もし可能であれば、僕からの手紙を渡してください」と探偵に言われる。
さっそく探偵が調査を開始する。
調査は1ヵ月を要した。
聞いていた真美さんの帯広市の実家は既に取り壊されており、駐車場になっていた。
実家の近所で聞き込みをおこなう。
真美さんの両親は既に高いしており、真美さんの現在につながる有力な情報は得られなかった。
また、真美さんの携帯電話番号は既に変わっていた。
その後、様々な調査をおこない、真美さんの住所が判明する。
真美さんは帯広市の隣町、音更町に住んでいた。
また、離婚なさって今は独り暮らしをされていた。
真美さんの住所が判明した3日後、午後6時に女性探偵が真美さんの家を訪ねる。
女性探偵は調査の趣旨をお伝えする。
「真美さんの住所などは由伸さんには伝えていません」
「今後も私たちから由伸さんには何もお伝えしません」
「由伸さんからの手紙を預かっています、よろしければこの手紙を受け取ってもらえますか?」
真美さんは女性探偵の話を笑みを浮かべながら、聞いてくださった。
女性探偵が「ストーカーの可能性もあるので、真美さんのことは具体的には伝えません」と言った際に
絵美さんは「あの人はそんな人ではありません」と小さく言われた。
手紙をお渡しし、探偵は札幌への岐路についた。
深夜、探偵は自宅へと帰った。
深夜2時、由伸さんからLINEが送信されてきた。
内容は絵美さんから電話をもらい、5時間も電話で話をされていたとの内容だった。
「お互いに30歳のとき、独身で恋人がいなければ、連絡を取ろうと・・・」の約束が12年遅くなったが、
その約束がうまくいくこと探偵は強く願った。