大通公園に夏の日差しがまだ厳しい8月。
札幌市在住の木田真由美さん(55歳)から父 中村三郎さん(83歳)の行動調査を依頼される。
三郎さんは長く会社を経営していたが、10年前に会社を閉鎖している。
真由美さんが母 中村幸子さん(83歳)から夫 三郎さんの調査をしたいと相談された。
幸子さんは以前から三郎さんが浮気をしていると思っていたそうです。
幸子さんは「30年ほど前からあの人は浮気をしているのよ」
「ずっとそれは分かっていたけど、我慢をしてきたの」
「でも、もう私も生きているうちにきちんと結論を出したいのよ」と真由美さんに言われた。
真由美さんは母 幸子さんに「誰と?」、「いつ会っているのよ?」と聞くが、
幸子さんは「それはハッキリとは分からない」、「でも浮気をしているのは間違いないのよ」と強く言われた。
当初、真由美さんは幸子さんの高齢が原因の被害妄想かとも思ったが、
あまりに強く訴えるため、幸子さんの代わりに当社を訪れたのだった。
探偵と真由美さんは幸子さんの違和感について話し合いをさせていただく。
やはり探偵も幸子さんの「考えすぎではないか」とも思った。
だが、幸子さんの「とにかく私はハッキリとさせたい」という要望を受け、調査を承った。
翌日より探偵が調査を開始する。
三郎さんは行動的であった。
町内会の会合、指示政党の役員会、お寺の檀家会の集まり など等、日々予定が入っている。
調査初日、三郎さんはゴミ袋を持って公園のゴミ拾いのボランティア。
3時間ほどゴミを拾い、帰宅する。
調査2日目、近所の会館で町内会の役員会に出席する。
翌週、3日目の調査 〇〇党の役員会に出席、そのままホテルでの懇親会に出席する。
本日もこれで調査を終了かと思い、幸子さんに状況を連絡する。
幸子さんは「途中で会場を出てこないのか? 引き続きお願いします」と指示をいただく。
幸子さんとの連絡を終えた5分後、三郎さんが会場から出てきた。
そしてホテル前でタクシーに乗り込む。
探偵も後ろに停車していたタクシーに乗車して、尾行をする。
三郎さんのタクシーは中央区のマンションの前で停車、三郎さんがマンションへと入っていく。
探偵は幸子さんに状況を伝え、このマンションに心当たりがないかをうかがうが、
幸子さんは「たぶん、そのマンションが女性の家です」と答えられる。
2時間後、一台のタクシーがマンション前に停車、三郎さんがマンションから出てきて、乗り込む。
その後、三郎さんのタクシーは自宅へと帰っていった。
引き続き、探偵は調査を継続する。
やはり三郎さんは浮気をしていた。
マンション14階に住んでいる木村佳子さん(77歳)と不倫関係だった。
木村さんは三郎さんが会社を経営していたとき、40年ほど経理部門で働いていた女性。
おそらく数十年にわたって三郎さんと不倫関係が続いていたのだと推測された。
以上を妻 幸子さんと娘 真由美さんに報告をさせていただく。
真由美さんは何度も「本当ですか?」と探偵に聞かれた。
だが、幸子さんはすべてを知っていたかのように大きくうなずかれていた。
その後、今後の方向性について探偵と幸子さん、真由美さんが話し合う。
幸子さんの意志は固く「私はこれからは自由に生きていきます」、「夫から解放されます」とキッパリと言われた。
最終的に幸子さんは三郎さんから「慰謝料」、「財産分与」、などを受け取り、離婚が成立した。