大倉山にも雪がちらつく11月。
札幌市在住の斎藤直美さん(33歳)からご依頼をいただく。
依頼内容は夫 晃さん(34歳)の浮気調査である。
斎藤さん夫婦は職場で知り合い、結婚して10年。
長男(5歳)、長女(2歳)の4人家族。
晃さんの職業は警察官、直美さんは結婚後は事務職のパートをしている。
斎藤夫婦は昨年まで室蘭に住んでおられた。
晃さんは室蘭では地域課所属で交番勤務をしていた。
晃さんは刑事にあこがれて警察官になったため、かねてから刑事課への希望を出していた。
そして今年の4月、札幌へ転勤、はれて刑事となった。
札幌へ引越し、晃さんが刑事課勤務となり、私服勤務になってから人が変わっていったそうです。
今までは穏やかな性格の晃さんだったが、札幌へ来てからは無口になり、子供への関心も無くなっていった。
また直美さんが「今日は早く帰ってこれそう?」と晃さんに聞くと、晃さんは「刑事に帰宅時間を聞くな」と答える。
直美さんも晃さんとは職場で知り合った。
つまり直美さんも結婚前は警察官だったのです。
やはり地域課から刑事課に移動になり、生活が荒れてくる同僚をたくさん見てきた。
直美さんは直感的に晃さんが浮気をしていると思ったそうだ。
探偵はさっそく調査を開始する。
晃さんは勤務先の警察署の近くに上司の許可をとって月極駐車場を借りていた。
探偵はその駐車場付近で待機。
18:15分 晃さんが警察署の方から歩いてくる。
駐車場で自家用車に乗り込み、走行を開始する。
自宅とは反対方向に進む。
白石区のマンション前に止まり、マンションから女性が出てくる。
女性(A子さん)を乗せ、そのまま平和通りのホテルへと入っていく。
3時間後、ホテルから晃さんの車が出てきて、A子さんを乗せたマンション前に送っていく。
晃さんは尾行することはあっても、尾行されることがないため、探偵も非常に追いやすかった。
A子さんを調べると、晃さんの高校時代の同級生。
だが、A子さんは既婚者で夫は単身赴任中であった。
A子さんと密会をした4日後は金曜日、同僚との飲み会とのことだった。
17:30分 晃さんは同僚らしき男性2名、女性1名と警察署を出てくる。
晃さんと同僚3名はタクシーを相乗りし、ススキノまで向かう。
4人は居酒屋に入り、3時間ほど滞在していた。
探偵も内偵のため、店内に入店し、観察をする。
晃さんも含め、同僚たちもビールや酒をまるで水のごとく飲んでいた。
晃さんたちの乱痴気騒ぎで店主が注意した。
だが、晃さんは「おい店主、俺を誰だかわかっていっているのか?」と凄んでいた。
その後、店を出て、それぞれが帰路についた。
晃さんも帰るのかと思ったが、角を曲がると先ほどの同僚女性(B子さん)が待っていた。
晃さんとB子さんはそのままススキノのホテルへと入っていく。
3時間後、二人は出てきて、タクシーに乗車する。
探偵もタクシーを追尾、女性が豊平区のマンション前で降り、晃さんはそのまま乗車して帰宅する。
探偵が調査をすると、B子さんも既婚者、さらにB子さんの夫も警察官であった。
さらに翌々日、日曜日。
晃さんは仕事に行ってくると家を出る。
車は厚別の団地前に止まる。
団地から若い女性(C子さん)が出てきて、晃さんの車に乗り込んだ。
そのまま西の里のホテルへと入っていった。
2時間後、晃さんの車が出てきて、先ほどの団地で女性を降ろす。
その後、晃さんは帰宅する。
C子さんは19歳、素行不良の女性、晃さんとの関係性は不明だが、
C子さんの住んでいる場所などを勘案すると、仕事がらみで知り合ったであろうと推測される。
晃さんを追尾していて探偵は気づいていた。
晃さんの車の後ろに銀色のインプレッサがいつもいたのであった。
探偵は覆面パトカーも含め、札幌市内の警察車両はほぼ、把握をしている。
その車はおそらく本部の監察が使っている車両と思われた。
以上を依頼人である直美さんに報告をさせていただく。
直美さんもまさか3人の女性と交際しているとは想定していなく、驚きを隠せなかった。
直美さんは探偵の報告を受けた翌日、子供たちを連れ、旭川の実家へと帰った。
直美さんは弁護士を通じ、晃さんへ離婚を請求された。
また、晃さんはやはり監察から調査を受けており、探偵と同じように晃さんの不倫を把握していた。
特にC子さんのことを重く見ているようで処分が出た。
減給100分10、1か月の懲戒処分となり、晃さんは翌日付で警察を退職した。
晃さんはあこがれの刑事になり、自分を見失い、家族を失い、仕事を失い、周りからの信用を失ってしまった。
晃さんに残されたものは、刑事だった・・・という過去だけになってしまった。