五稜郭公園が凛とした寒さになる12月。
函館市在住の斎藤俊樹さん(42歳)から依頼をお受けする。
ご依頼の内容は、山本裕也さん(42歳)の所在調査(人探し)であった。
俊樹さんのお父さんは転勤族で、俊樹さんも学生のときは何度も転校を繰り返していた。
中学2年生のとき、俊樹さんは室蘭の中学から函館の中学校へ転校した。
そのとき、クラスになじめず、イジメの対象になってしまった俊樹さんだった。
だが、隣のクラスの裕也さんは家が近所だったことで仲良くなり、俊樹さんがイジメられているといつも助けてくれた。
裕也さんは、いつも一緒に自転車で函館の街を俊樹さんに案内してくれた。
そんな裕也さんとの学生生活も突然、終わりが来た。
俊樹さんのお父さんの仕事の都合で3年生になったばかりの5月に札幌へと転校となってしまった。
今のようにLINEやメールがあるわけではないため、文通をしていたが、高校受験前にその文通も途絶えてしまった。
それから27年、俊樹さんのことが思い出される。
あのとき、いつもイジメから助けてくれた裕也さんと再会し、お礼がしたいと強く思うようになった。
そして、当社へ依頼をされたのだった。
さっそく探偵が調査を開始する。
3週間後、裕也さんの住所が判明した。
裕也さんは俊樹さんと同じく函館に住んでいた。
また、驚くことに俊樹さんの家と1キロも離れていないところに住んでおられた。
探偵はすぐに俊樹さんに報告をさせていただく。
翌日、俊樹さんは裕也さんの家を訪ねた。
裕也さんも俊樹さんのことはよく覚えていてくれたそうだ。
また、お互いに室蘭で知り合ったのに、今は二人とも函館、そしてこんな近所だった・・・と驚いていた。
その後、俊樹さんは大門横丁の焼き鳥屋で裕也さんと乾杯している写真を探偵に送ってくれました。