残暑も終わり、札幌にも秋の風が吹く8月。
当探偵社へ矢野美雪さん(32歳)から夫 和也さん(30歳)の浮気調査をお受けする。
矢野家は5歳になる俊祐君との3人家族。
和也さんの仕事はテレフォンアポイントの会社の管理職。
2年前にも職場の女性と浮気をしているのが発覚する。
そのとき、和也さんは美雪さんに謝罪、浮気は止めると約束した。
だが、その半年後には和也さんの不信な行動が始まる。
美雪さんは和也さんのラインを見て、その浮気相手と復活しているのを確認したのだ。
美雪さんはそんな和也さんを見て、迷い悩んだ。
だが、ある結論に達した。
きちんと離婚しよう・・・・・と。
それから美雪さんは離婚をする準備に入った。
正社員で働ける仕事を探し始める。
幸い、知人の紹介である会社の事務職で働けることになった。
そして、両親にお願いをして、離婚後は俊祐君の子育てを補助してくれるように頼んだ。
また、当社に調査を依頼する。
確定的な証拠、相手の女性の身元調査などを依頼された。
さっそく、探偵が調査を開始する。
やはり、和也さんは浮気をしていた。
相手女性は職場の中島朋美さん(26歳)、2年前の浮気をしていた女性であった。
和也さんと朋美さんは美雪さんに関係がバレた後も連綿と交際を続けていたのです。
調査を終了し、結果を美雪さんに報告をさせていただく。
美雪さんは冷静に探偵の報告を聞き終えると、静かに言われた。
「お願いがあります」
「最後に夫が朋美さんのところに行っているときに私を朋美さんの家に連れていってください」・・・・と。
数日後の日曜日、和也さんは仕事といって自宅を出る。
美雪さんは朝から引っ越し業者を手配しており、一気に荷物を実家に運び入れる。
そして、美容室に行き髪を切り、一番のお気に入りの服を着る。
俊祐君を両親に預け、探偵は午後7時、美雪さんを朋美さんの家にお連れする。
女性調査員も万が一に備え、付近で待機。
美雪さんは朋美さんの部屋のドアホンをゆっくりと押す。
中から「ハーイ」と声がする。
美雪さんは静かに「和也の妻です、夫を出してください」とドアホンに向かって話す。
部屋の中では慌てた物音がしていた。
和也さんがドアを開けて出てくる。
美雪さんはやはり静かに気迫のこもった声で言われた。
「私の持っている家の鍵をお返しします」
「私は家を出ます」
「あとは弁護士が話し合いをします」
そして「彼女をよんで」と和也さんに言われた。
朋美さんが出てきた。
美雪さんは更に静かな声で言われた。
「アナタに夫は渡します」
「だが、アナタが私から夫、子供から父親を奪った十字架を背負って生きなさい」・・・と。
その美雪さんの姿に女性調査員も圧倒された。
その後、探偵は美雪さんを実家まで車でお送りした。
車の中で美雪さんが力強く言われた。
「明日から頑張って生きよう・・・・」と。