大通りに春風が吹く、3月。
札幌市在住の名取由美さん(41歳)から夫 実さん(45歳)の調査を依頼される。
名取さん家族は長女 愛子さん(9歳)の3人家族。
実さんは勤務医。
由美さんは看護師。
3年前から実さんは札幌の病院から旭川市の病院に移動となり、単身赴任中であった。
当初は由美さんも愛子さんを連れ、一緒に旭川に行く予定であったが、
実さんが「最初はものすごく仕事が忙しいだろうから、まずは単身で行くよ」と言い、
旭川に単身用の賃貸住居を借りて生活することになった。
由美さんも頻繁に旭川に赴き、掃除や洗濯などをおこなっていた。
先月、実さんが札幌の家に帰宅した。
実さんは唐突に由美さんに言ってきた。
「離婚してほしい」
「自分の医師としてのスキルを高めるためにアメリカに渡る」
「医学の発展のために生きていきたい」
「君と愛子の生活には困らないだけのお金は続けるよ」
あまりに突然の申し出に由美さんは動揺した。
由美さんは実さんに「今は答えは出せないわ」と話した。
翌日、実さんは旭川に帰っていった。
由美さんはいろいろと考えた。
実さんがアメリカに行くことを考えているなど今まで一度も聞いたことがなかった。
もう一つ、旭川の部屋に生活感がなかったこと。
新聞は全く読んだ形跡がなく、投函されたまま廊下においている。
浴室の排水溝もいつもきれいで、浴室を利用している形跡がない。
また、お醤油などの調味料が全く減っていない。
由美さんは実さんの生活実態を含めた調査を探偵に依頼された。
さっそく探偵は旭川に飛び、調査を開始する。
実さんの勤務先で実さんの退勤を待つ。
午後7時、実さんが病院職員通用口より出てくる。
自分の車に乗り込み、走行を開始する。
探偵は実さんの車を尾行する。
実さんの車は真新しい一軒家の前に到着する。
自分でドアの鍵を開けて入っていく。
そのまま、探偵は張り込みを続ける。
翌朝の7時、実さんと30代と思われる女性が家から出てくる。
その女性は実さんの車が見えなくなるまで、手を振って見送っていた。
引き続き探偵は調査を行った。
実さんは毎日、その家に帰宅する。
探偵はその女性を含め、実さんの情報を集めた。
女性は実さんの勤務している病院で半年前まで看護師として働いていた。
名前は広瀬芽衣さん(32歳)
おそらく2年以上前から実さんと不倫関係にあった。
また、実さんがいつも帰っている家は実さん名義、3か月前に建てた新築。
そして、芽衣さんは妊娠していた。
以上を依頼人である由美さんに報告させていただく。
由美さんは驚くとともに、怒りに震えていた。
翌日、由美さんは旭川に行き、女性と一緒に住んでいる家を訪ねる。
実さんも芽衣さんもすべてを認めた。
実さんは旭川に赴任後に芽衣さんと知り合い、不倫関係になる。
由美さんが旭川に来るとき以外は芽衣さんのマンションで暮らしていた。
そして、芽衣さんが妊娠をしたのをきっかけに旭川で一軒家を建てて芽衣さんと暮らしていた。
由美さんと離婚をスムーズに進めるために「アメリカに行く・・・・」などの作り話をしていたのだった。
由美さんはあまりに無責任な夫に愕然とした。
由美さんはこれからどうするのかを考えます・・・・と探偵におしゃっていた。