北海道大学のポプラ並木に春風が吹く4月。
札幌市在住の山田晃さん(37歳)から妻 絵美さん(36歳)の家出人調査を依頼される。
晃さんは建設会社に勤務、絵美さんはスーパーでパート勤務。
長男 健君(4歳)の3人家族。
ある日、晃さんが仕事を終えて帰宅すると絵美さんと健君がいない。
家の中を見ると絵美さんと健君の衣類がない。
晃さんはすぐに警察署に行き、事情を話した。
警察で晃さんは思ってもみないことを言われた。
「奥さんは無事です」
「事前に奥さんから相談をいただいています」
「アナタの暴力が原因で家を出ることを警察では把握しています」
「アナタは一切、奥さんを捜したりしては行けませんよ」
晃さんは唖然とした。
晃さんは妻 絵美さんに暴力を振るったことも、怒鳴ったことも一度もない。
逆に夫婦は典型的な「カカア天下」
晃さんはいつも絵美さんに怒鳴られていた。
そんな晃さんがDVの加害者になっていたのである。
晃さんは知人の紹介で当社を訪れた。
晃さんのお話を伺い、探偵は「もしや」と思う想定をした。
正式に晃さんから依頼を受け、探偵はさっそく調査を開始する。
絵美さんの実家は帯広。
探偵が帯広の実家を張り込むが、絵美さん、健君はいない。
晃さんが絵美さんの実家にも電話をかけたが、絵美さんの両親は
晃さんが暴力を振るうと絵美さんの話を信じていた。
そのため、「君に話すことはない」と一切協力をしてくれない。
絵美さんの職場を確認してみたが、絵美さんが出勤している様子はない。
絵美さんの働いているパート先に探偵の人的ネットワークがあったため、絵美さんの情報が入った。
絵美さんは勤務先の店長と噂があった。
そこで探偵は店長の渡辺将司さん(42歳)の動向を確認する。
将司さんが職場から退勤後を尾行する。
将司さんの住所ではないアパートの2階に入っていく。
その後も調査を続けた。
結果はやはり絵美さんと将司さんは一年ほど前から不倫関係にあった。
絵美さんは晃さんに気づかれないように交際を続け、準備を整えて家を出た。
そして、晃さんに捜されないように警察に晃さんからの暴力をでっち上げ、捜索願を出させないようにしていた。
探偵の報告を受け、晃さんは怒りに震えていた。
自分の身勝手を通すために、警察に嘘を言い、健君のことも考えずに、行動していたこと。
晃さんは将司さんに慰謝料の請求をし、絵美さんとの離婚を決断した。