下記調査事例は複数の調査をもとに創作したフィクションです。
岩尾内湖にも初雪が舞う12月。
士別在住の吉田咲希さん(38歳)から夫 雄太さん(43歳)の失踪人・家出人調査を依頼された。
雄太さんは士別で団体として働いている。
咲希さんも士別市の大型商業施設で働いている。
雄太さんは2年ほど前からうつ病になり、通院をしながら、仕事に従事していた。
3ヵ月ほど前に配置転換があり、それから人間関係に悩んでおられた。
咲希さんもそんな雄太さんを気にかけ、「辛かったら仕事を休職させてもらいましょう」と言っていた。
だが、生真面目すぎる雄太さんは「大丈夫だよ、無理しないから」と咲希さんに答えていた。
3日前、雄太さんは会社へ行くといって出かけた。
午後、咲希さんのところに雄太さん職場から連絡があった。
雄太さんが出勤をしていないとの内容であった。
咲希さんは職場に事情を話し、すぐに自宅へ戻る。
食卓テーブルに上に雄太さんからの置手紙があった。
「今までありがとう」
「少し疲れた」
「こんな僕を支えてくれてありがとう」
短い3行の手紙であった。
雄太さんはクルマに乗って失踪をしたようだった。
すぐに雄太さんの友人、知人に連絡をするが、なんの手がかりもない。
咲希さんは兄妹、親戚にお願いして、名寄、稚内方面、旭川方面の国道をクルマで走り、雄太さんのクルマを探してもらう。
だが、2日間、探し回ったが、手掛かりは得られない。
6日目、咲希さんは探偵へ雄太さんの家出人・失踪人調査を依頼される。
探偵は咲希さんと様々なお話をさせていただく。
まず、雄太さんはスマホを持って出ているため、LINE、メール、電話などはむやみにしないことをお願いする。
今、雄太さんはスマホの電源を切っているが、電源を入れた時にたまっていたLINE、メールの通知、電話の不在通知が
一気に鳴りだす。
これは非日常にいる雄太さんには恐怖に感じることを説明させていただく。
また、LINE、メールで送信する内容は返信を必要とする内容は送らないこと。
「今、どこにいるの?」「何が辛かったの?」「これからどうしていきたいの?」と
心配のあまり送る内容が雄太さんにとっては責められているように思ってしまう。
送信する内容は「こちらのことは心配しないでね」「ちゃんと食事はとってくださいね」「いつでも連絡を待っていますね」と
雄太さんが返信を迫られない内容で送ることもお願いする。
咲希さんとの面談を終えた探偵はさっそく調査を開始する。
調査は2チームを編成する。
1チームは士別から名寄を含め、稚内までの各市町村を捜索する。
2チームは旭川市内の徹底的な捜索をおこなう。
傾向として失踪人は人目を避けて、人のいないところへは行かない、逆に人混みの中へ向かう傾向が強い。
調査開始4日目 旭川市近文にある大型商業施設の駐車場にて雄太さんのクルマを発見する。
すぐに咲希さんに連絡をして、同駐車場へ向かってもらう。
車内には雄太さんがシートを倒して、仮眠しているようであった。
探偵は雄太さんの車両が不意に走行できないよう探偵車両で取り囲む。
3時間後、咲希さんが同駐車場に到着した。
その後、探偵と打ち合わせをおこない、咲希さんはゆっくりと雄太さんのクルマに近づき、助手席の窓を小さく叩いた。
咲希さんは雄太さんのクルマの助手席に乗り込んだ。
二人はいろいろと話をしているようで、1時間後に咲希さんがクルマから降り、探偵のところに来られた。
やはり、雄太さんは精神的にいっぱいになってしまい、衝動的に家を出てしまったようです。
その後、雄太さんと咲希さんは探偵の車両に乗ってもらい、雄太さんのクルマは調査員が運転して士別へ向かった。
雄太さんは自宅に戻り、咲希さんとゆっくりと話し合いをされた。
雄太さんは職場に病気療養休暇の願いを出し、今しばらく治療に専念されることとなった。