食品資材卸の会社を経営している斉藤豊さん(63歳)から社員の動向調査を依頼される。
斉藤さんの会社は札幌にあり、従業員30人、そして営業職が6人。
豊さんも以前は自ら営業を担当していたのだが、2年前に大病を患い、今は部下に任せていた。
会社は創業25年、業績も徐々にではあるが伸びてきていた。
だが、斎藤さんが営業を部下に任せてから明らかに業績が落ちてきている。
2週間前、ある会合に斎藤さんが出席した際、懇意にしている社長から耳打ちされたのだった。
「お宅の会社のクルマ、うちの会社の向かいにあるパチンコ店によく止まっているよ」と。
営業を任せっぱなしにしていること、社員を信頼しているのと無関心でいることは違うことに気付いた。
やはり営業社員の実態を知っておきたいと当社へ調査を依頼された。
営業社員6名全員の業務中の動向調査をおこなうこととなった。
さっそく探偵が調査を開始する。
すべての調査を終えるのに1ヵ月を要した。
結果は新入社員1名以外は、みないい加減な仕事をしていたのだった。
営業部長A氏は外勤にでるとパチンコ店にこもり、夕方になると帰社する。
係長B氏は会社からまっすぐに自宅マンションに戻り、午後2時くらいにマンションより出てきて、2件ほど得意先をまわり帰社する。
主任C氏はホームセンターに行ったり、公園の駐車場で昼寝をしたりでほとんど仕事をしない。
主任D氏は彼女と映画に行ったり、ドライブしたりでまったく仕事をしていない。
社員E氏は、自宅に帰り、自家用車の修理やパーツを取り付けたりなどをしている。
以上を依頼人である斉藤さんに報告をさせていただく。
あまりの状況に斎藤さんも愕然とされていた。
斉藤さんは全社員と面談をおこない、意識改革をおこなう。
また、斎藤さんも病気が治癒したことから、再度現場に戻り、営業担当をすることになった。