旭川市在住の佐藤泉さん(35歳)から夫 浩司さん(38歳)の調査を依頼される。
佐藤家には5歳の長男 翔太君がおり、浩司さんの職業は医師。
3年前、浩司さんは医局の人事で稚内市の病院への移動することになった。
当初、泉さんと翔太君も一緒に稚内に行く予定だったが、翔太君の病気が発見され、治療に専念するため旭川に残ることになった。
浩司さんは単身で稚内に行くことになった。
当初、浩司さんは休みが取れる日は、積極的に旭川の実家に帰ってきた。
だが、一年ほど前から浩司さんは「仕事が忙しい」と旭川に帰省しなくなってしまった。
ある日、泉さんは翔太君を連れて、稚内へ行った。
浩司さんは仕事中だったため、合鍵で浩司さんのマンションに入室した。
泉さんは違和感を感じた。
女性の髪の毛があったなどの痕跡があったわけではなく、部屋に浩司さんの生活感がなかったのだった。
冷蔵庫の中には、ペットボトルのミネラルウォーターとビール、冷凍庫に中にロックアイスがあるだけ。
調味料もほとんど減っていない。
バスルームも完全に乾いており、シャワーすらしている痕跡もない。
夕方になり、浩司さんがマンションへ帰宅した。
浩司さんは泉さんの顔を見るなり、「最近は仕事が忙しく当直室に泊ってばかりだよ」と言った。
その浩司さんの言い方に泉さんとても違和感を感じた。
翌日、泉さんと翔太君は稚内から旭川に戻った。
その後、泉さんは当社を訪れ、浩司さんの生活状況の調査を依頼された。
さっそく探偵が調査を開始する。
調査初日は金曜日、浩司さんの職場で待機する。
午後7時、浩司さんが病院の職員通用口より出てくる。
自家用車に乗り込み、走行を開始するが、マンションとは逆方向へ向かっていく。
2階建てのアパート前に車を停め、同アパートへ入っていく。
翌日の土曜日、浩司さんは休みなのか、そのアパートから出てこない。
だが午後6時、アパートから女性と一緒に出てくる。
浩司さんはキャップをかぶり、眼鏡をかけている。
女性は20代と思われた。
二人は稚内市内にある大型複合施設へ買い物に出掛ける。
人の目を気にしてか、二人は一定の距離感をとって買い物をしていた。
食料品などを購入して、アパートへ戻った。
その後も探偵は調査を続ける。
女性は浩司さんの勤務する病院の検査技師 森田由佳さん(27歳)。
由佳さんと浩司さんは1年ほど前から不倫関係にあった。
由佳さんは実家に住んでいたが、半年ほど前にこのアパートを借りて引越しをしていた。
そして浩司さんもそのアパートで過ごし、同棲状況にあったのだった。
以上を依頼人である泉さんに報告をさせていただく。
途中経過を報告していた探偵だったが、それでも最終報告を聞いた泉さんは動揺されていた。
翌日、泉さんは稚内に行き、浩司さんと由佳さんの3人で話し合いをした。
浩司さんと由佳さんは関係を終わらせることを泉さんに約束をする。
泉さんは翔太君の病気治療もひと段落したのもあり、翔太君を連れ、稚内で浩司さんと一緒に暮らすこととなった。