狸小路が観光客でにぎわう6月。
札幌市在住のA子さん(33歳)から夫 Bさん(35歳)の調査を依頼された。
A子さん夫婦は5年前に共通の友人 Cさん(35歳)の紹介で知り合い、結婚をされた。
A子さんは看護師、夫 Bさんは公務員、子供はまだいない。
一ヵ月前、A子さんはBさんから離婚をしたいと言われた。
Bさんは「僕は結婚には向いていない」、「結婚という価値観を自分は受け入れられないんだ」など、
漠然とした言葉で、とてもA子さんが納得できる内容ではなかった。
その後もA子さんは何度もBさんと話し合いを持ったが、平行線をたどる。
そして2週間前からBさんはホテルに宿泊し、帰宅しなくなった。
A子さんは、共通の友人であるCさんにも相談した。
Cさんは驚くとともに、「互いに傷つけあう前に答えをだすことも一つだね」と抽象的なアドバイスをくれる。
やはり納得のいかないA子さんは、当社へBさんの行動調査を依頼された。
さっそく探偵が調査を開始する。
Bさんは職場からまっすぐに宿泊しているホテルへ向かう。
探偵もBさんの宿泊しているホテルに宿泊をして調査をおこなう。
特に変わったこともなく、ときおり友人 Cさんと食事に行く程度だった。
当初、探偵はCさんがA子さん、Bさんの仲裁をするために接触していると考えていた。
金曜日、Cさんもホテルへ宿泊をした。
ホテルには大浴場とサウナが併設されていた。
午後9時、BさんとCさんがホテルの大浴場にむかう。
探偵も少し時間をおいて大浴場にむかった。
二人はサウナ室に並んで座り、小声で会話をしていた。
聞き耳を立てていた探偵は驚く内容を聞いてしまった。
Bさん 「もう少しで離婚できるよ」
「離婚したら、二人で一緒に住もう」
Cさん 「思い切ってマンションを購入しよう」
Bさん 「それはいいね、マンション巡りをしよう」
Bさんが離婚したかった理由はCさんとの関係であった。
さらに探偵は調査を進める。
やはりBさんとCさんは恋人関係だった。
BさんはA子さんと知り合ったときは、自分は女性と結婚するべきと思っていたらしい。
同じくCさんも自分のジェンダーについて、あえて意識しないようにしていた。
だが、Bさんが結婚をしたことによって、Cさんは自分の気持ちに気づき、Bさんもその気持ちに答え、交際に至ったようだ。
以上を依頼人であるA子さんに報告させていただく。
A子さんは、自分に言い聞かせるように「そうですか」と何度もつぶやいていた。
その後、A子さんは離婚を決断された。