秋の気配が忍び寄る9月
札幌市在住の小林理央さん(38歳)から夫 広志さん(42歳)の浮気調査を依頼される。
広志さんはホテル業に従事している。
1年前、登別のホテルへ管理職として転勤となる。
広志さんは単身赴任をすることになり、会社で用意している社宅で暮らすことになった。
会社は単身赴任の場合は、極力週末に連休で休みを与えてくれた。
当初、広志さんは金曜日の夜に札幌の自宅に戻ってきて、日曜日の夜に登別へと帰っていった。
だが、半年ほど前から2週間に一度の帰省、徐々に月に一度の帰省、そしてここ二ヵ月は一度も札幌の自宅に帰って来なくなった。
広志さんは理央さんにスタッフが足りなく、休みが取れないと伝えてきていた。
理央さんはそんな広志さんのことが心配になり、登別の社宅を訪ね、家の掃除や洗濯をしようと合鍵で部屋へと入った。
すると部屋にはほとんど生活感が感じれなかった。
洗濯物もなにもなく、衣類などもほとんどなかった。
冷蔵庫も何も入っていなく、コンセントも抜いてあった。
その部屋を見た理央さんは、これまでの違和感がすべてつながった。
以前、帰ってきたとき、夫の着替えの中に長い髪の毛が入っていた。
服もこれまで広志さんが着ないようなハデなものも見ることがあった。
また、夜に電話をしても、ほとんど出ない。
翌日のお昼くらいに折り返しの電話がくる。
理央さんは広志さんに会わず、札幌へと戻り、当社へお越しになられた。
そして広志さんの登別での行動・素行調査を依頼される。
さっそく探偵が調査を開始する。
金曜日、午後7時 広志さんがホテル職員通用口から出てくる。
職員駐車場まで移動をして、車に乗り込み、走行を開始する。
車は社宅の方向ではなく、室蘭方面へと走行を続ける。
広志さんの車は室蘭市中島町のマンション駐車場に入り、車を駐車し、広志さんはマンションへと入っていく。
探偵も慎重にマンションへ入った。
広志さんがエレベーターに乗り込むのを確認、4階でエレベーターが止まった。
そのまま探偵はマンション付近で入り込む。
翌日の土曜日、広志さんの車はそのままマンション駐車場から動かない。
おそらく仕事は休みだと判断する。
午前11時、広志さんと女性がマンションから出てきて、広志さんの車に乗り込み、走行を開始する。
車は苫小牧方面へと走行を続ける。
苫小牧の大型商業施設の駐車場に入る。
車を駐車場に止め、広志さんと女性は同施設へと入っていく。
館内では手をつなぎながら、仲良く歩く二人。
館内のフードコートで食事を終えた後、二人は服や雑貨、食料品などを購入し、室蘭のマンションに戻った。
引き続き探偵が調査をおこなう。
広志さんは女性のマンションで同棲をしていた。
女性は田中留美さん(31歳)、仕事の関係で知り合ったと思われ、不倫関係に至ったようだ。
広志さんは、ほとんど社宅には帰らず、田中さんのマンションで過ごしていたのだった。
以上を理央さんに報告させていただく。
理央さんも想像はしていたが、まさか同棲とは思っておらず、動揺をされていた。
翌日、理央さんは、田中さんのマンションにむかった。
広志さんはとても驚いていたが、田中さんはとても落ち着いていたらしい。
理央さん、広志さん、田中さんの3人は深夜まで話し合いをしたそうだ。
そして広志さんと田中さんは交際を止めることを理央さんに約束した。