函館在住の北口裕二さん(35歳)からご相談をいただく。
3年前から交際している佐々木由美さん(29歳)についてであった。
裕二さんと由美さんは友人の紹介で知り合い、交際に至った。
裕二さんは会社員、由美さんは看護師をしている。
当時、裕二さんは札幌の本社で務めていたが、1年前に函館支店に転勤となり、由美さんとは遠距離交際となった。
月に2度ほど裕二さんが函館から札幌にきて、由美さんと時間を過ごしていた。
ときおり由美さんが函館へ来ることもあった。
裕二さんが函館へ引っ越す前に裕二さんと由美さんは互いの両親に挨拶にいき、婚約をした。
だが、2ヵ月ほど前から由美さんの態度が変わったそうだ。
「今週末は仕事が入っているから会えないわ」
「クリスマスイブは夜勤になってしまったわ」
「今月は忙しいから、なかなか会えないわ」
裕二さんは毎日の連絡などで由美さんの変化を感じていた。
探偵にいろいろと相談した裕二さんは、もし由美さんに心変わりがあるのであれば、
お互いのために結論を出そうと探偵に由美さんの調査を依頼された。
さっそく探偵が調査を開始する。
金曜日、由美さんの勤務先から調査。
午後6時30分 由美さんが職員通用口から出てくる。
女性探偵が由美さんの後を追う。
由美さんは地下鉄駅に入り、自宅とは反対方向の車両に乗り込む。
西18丁目駅にて下車、スーパーで食料品などを購入し、さらに徒歩で移動をする。
ほどなくして、マンションのオートロックを解錠して入っていく。
すぐに探偵が裕二さんに連絡を取る。
裕二さんもそのマンションについては知らない、由美さんが引越しをしているなどの話も聞いていないとのこと。
探偵は引き続き、そのマンションを張り込みを続ける。
だが、由美さんはいっこうに出てこない。
翌日土曜日、午後12時30分 由美さんと男性がマンションから出てくる。
由美さんはマンション横にある駐車場に止めてある車に男性と乗り込み、走行を開始する。
探偵は由美さんを乗せた車を尾行する。
車は円山にあるレストラン駐車場に入場する。
由美さんと男性は同レストランに入っていく。
探偵も内偵のため、入店する。
探偵たちの席と由美さん、男性の席が近かったため、指向性のダミー型マイクをテーブルに置き、二人の会話を聞く。
会話の内容から男性は由美さんの勤務している病院の医師であることが分かった。
1時間後、男性と由美さんはレストランを出る。
探偵も引き続き、尾行を続ける。
二人は発寒の大型商業施設に行く。
由美さんは靴とアクセサリーなどを男性から買ってもらっていた。
その後、由美さんと男性は同商業施設を出て、男性のマンションへと戻っていく。
探偵はマンション付近にて張り込みを続ける。
翌日、日曜日の午後8時に由美さんと男性が出てきて、車に乗り込み、走行を開始する。
車は厚別の由美さんの自宅マンション前に到着、由美さんは車を降り、自宅マンションへ入っていく。
探偵はさらに調査を続ける。
男性は佐藤健司さん(41歳)、由美さんの勤務する病院の医師。
探偵は由美さんの病院職員とのネットワークがあり、情報収集をする。
佐藤さんは奥さんと半年前に離婚、その後、由美さんと親しくなったようだ。
また、探偵の調査でも、由美さんは佐藤さんのマンションへは週に3日ほどは宿泊をしていて、半同棲のような生活だった。
以上を依頼人である裕二さんに報告をさせていただく。
まさか・・・と思いながら探偵に依頼された裕二さんであったが、事実は裕二さんの想像をはるかに超えていたそうだ。
裕二さんは深いため息をつき、探偵に言われた。
「もっと早く気づいていれば・・・やっぱり遠距離ってダメなんですね」
探偵は小さくうなずくしかなかった。
裕二さんは翌日、由美さんにあえて電話で別れを告げた。