テレビ塔から見える景色が大通公園のイルミネーションで艶やかになる12月。
田中浩二さん(40歳)からご依頼をいただく。
内容は交際相手の鈴木恵美さん(35歳)に手紙を渡してほしいとの内容であった。
田中さんは、結婚を望んでいたが、ご縁がなく独身だった。
「僕は一生独身で過ごすよ」と友人、知人などに言っていた。
あるとき、田中さんは知人から鈴木恵美さんを紹介された。
田中さんは初めて恵美さんと会ったとき、あまりの美しさに緊張して震えたそうだ。
知人がセッティングをしてくれたレストランでの食事をした。
田中さんは緊張しながらも、とても楽しく夢のような時間だった。
そして田中さんは、緊張して言葉がうわずりながらも、「また会ってもらえませんか?」と恵美さんにいう。
恵美さんも「ぜひ、よろしくお願いします」と言ってくれた。
そして、田中さんは恵美さんをタクシー乗り場まで送り、別れた。
その日、田中さんは、嬉しくてうれしくて眠れなかった。
翌週の日曜日、田中さんは恵美さんと札幌駅で待ち合わせをする。
田中さんは、必死でその日の計画を立てた。
14:00 札幌駅で待ち合わせ。
14:30 映画を見る。
17:30 予約しているお寿司屋さんに行き、食事をする。
19:10 さっぽろテレビ塔に昇る。
20:00 タクシーで恵美さんを送り届ける。
デートは計画通り順調に進んだ。
恵美さんは、常に優しい笑顔で田中さんに接してくれ、口下手な田中さんに丁寧に話をしてくれた。
田中さんは帰宅しても、夢のように楽しい時間を思い出していた。
だが、同時に不安が襲ってきた。
どうして恵美さんのような素敵な人が自分なんかと会ってくれるんだ・・・・
きっと恵美さんには素敵な彼がいて、事情があって会えないから、こんな自分と会ってくれるんだ・・・・
これ以上、恵美さんを好きになったら、本当に辛くなる・・・・と。
恵美さんと3度目のデート。
田中さんは、最初に出会ったレストランで待ち合わせをする。
食事を終え、店をでたとき、田中さんは思わず恵美さんに言ってしまった。
「僕なんかと会ってもらい、ありがとうございました」と。
そして、あふれる涙を恵美さんに見られたくなくて走り去ってきてしまった。
田中さんは、走りながらも涙があふれてしまう。
帰宅しても、息ができないほど胸が痛かった。
翌日から熱が出て、3日間仕事を休んだ。
4日目、田中さんは「なんて馬鹿なことを言ったんだ」と激しく後悔をした。
そして、思いのたけを手紙に書いた。
だが、その手紙をどうするのか?
郵送をするのか? 紹介してくれた知人に託すのか?
そして迷い、悩んだ末に当社へ相談に来られた。
探偵に「この手紙を恵美さんに渡してください」と依頼をされた。
さっそく探偵は恵美さんを訪ねた。
恵美さんに会い、探偵が田中さんが恵美さんに「本当にありがとうございましたと言っていました」と手紙をお渡しして、帰ろうとした。
恵美さんは探偵に「手紙を読み終わるまで待っていてください」と言われた。
手紙を読み終えた恵美さんは、「田中さんになんで急にありがとうございましたと言って走って帰られたんですか」と伝えてくださいと言われた。
恵美さんの家を後にした探偵はそのまま田中さんの家に行き、報告をした。
探偵は田中さんに「なぜ、今までありがとうって言って急に走り出して帰ったんですか?」と怒ってましたよ・・・と伝えた。
田中さんは「エッ、エッ・・・」と動揺していたが、我に返り、探偵に礼を言うと、またまた走り出して行ってしまった。
後日、田中さんから連絡をいただいた。
あの日、田中さんが恵美さんを訪ね、自分に自信が持てなく、恵美さんに嫌われる前にありがとうと言って逃げ出したことを話したそうだ。
恵美さんは、最初はムスッとしていたが、すぐに笑顔になり、許してくれた。
それから、田中さんと恵美さんは交際することになった。
探偵は一度、恵美さんからお手紙をいただいた。
恵美さんは、田中さんを紹介される半年前に3年間交際していた男性がいたそうです。
だが、彼は女性関係のトラブルも多く、お金の無心もしてきたそうです。
恵美さんは悩んだ末にその男性とお別れをした。
そして田中さんを紹介され、田中さんの実直で優しそうな人柄に安らぎを見たそうです。
恵美さんも田中さんに惹かれていたそうです。
1年後、田中さんと恵美さんはご結婚をされた。