江部乙神社にも雪が降り積もる2月。
滝川市在住の小林直人さん(50歳)からご依頼をいただく。
内容は40年前に別れた継父 佐藤信夫さん(78歳)の行方調査であった。
直人さんの父親は直人さんが産まれてまもなく、病気で若くして亡くなられた。
そして直人さんが5歳のとき、母が継父である佐藤さんと結婚した。
直人さんが10歳のとき、母が佐藤さんと離婚した。
そのとき以来、直人さんは佐藤さんと会っていない。
当時、直人さん家族は札幌に住んでいたが、母が佐藤さんと離婚後、実家のある滝川に引っ越しをした。
そのとき、苗字も佐藤から小林になったそうです。
母も昨年なくなり、実家を整理していた際、佐藤さんにいつも遊んでもらっていた野球盤ゲームが出てきた。
直人さんにとって佐藤さんは優しいお父さんだった。
休みの日はいつも直人さんをいろいろなところに連れて行ってくれた。
5年間の親子関係だったが、直人さんにとっては、楽しい思い出だった。
母と佐藤さんの離婚の理由はわからないそうですが、引っ越しの日、母と家を出るときに佐藤さんが涙ぐんで手を振ってくれていたのを鮮明に覚えているそうです。
それからは、母に佐藤さんのことを聞いたことはなかった。
それを聞いてはいけないと子供心に思っていたそうです。
母も亡くなり、兄弟もいない直人さんは孤独を感じた。
思い出されるのは、継父 佐藤さんのことだった。
母が亡くなり、自分なりに佐藤さんの所在を探してみたが、戸籍の上で養子縁組を解消しているため、戸籍では判明しなかった。
そして、当社へ佐藤信夫さんの所在調査の依頼をされた。
さっそく探偵が調査を開始する。
探偵は様々な調査をおこない、1か月後、佐藤信夫さんの所在が判明した。
佐藤さんは岩見沢市の団地に住んでおられた。
また、直人さんの母と離婚後は再婚はしていなく、一人暮らしをされていた。
以上を依頼人である直人さんに報告させていただく。
直人さんは岩見沢と聞いて、これからすぐに訪ねると言われた。
探偵が事前に佐藤さんの号室などを確認していたため、直人さんを岩見沢までお届けした。
直人さんが佐藤さんの部屋のインターホンを押す。
中から「はーい」と穏やかな返事が聞こえた。
ドアが開いて、すぐに佐藤さんは少し大きな声で「直人か? 直人なのか?」と言われた。
直人さんが「はい、直人です、僕のことを覚えてくれていたんですか?」と聞く。
「覚えているに決まっているだろう」と佐藤さんが即答する。
佐藤さんが、「寒いから中へ入って・・・」と招いてくれた。
探偵はそこで帰ってきました。
後日、直人さんからご連絡をいただく。
佐藤さんは直人さんのことを息子ができたと嬉しかった・・・と当時のことを話してくれたそうです。
母と離婚した後も、運動会などはいつも気づかれないように見に来ていたそうです。
高校の卒業式も学校から卒業証書をもって出てくる直人さんを車の中から見ていたそうです。
直人さんは嬉しそうに探偵に言われました。
「これからは父さんに親孝行をさせてもらいます」・・・・・と。