札幌市在住の斉藤良子さん(55歳)から母親が入所している特別養護老人ホームの内偵調査を依頼される。
斉藤さんの母親 文江さん(82歳)は10年前より認知症の症状が確認され、3年前からA特別養護老人ホームに入所している。
入所後まもなく新型コロナが流行し、面会もできなかったが、今年になってから何度か面会ができるようなった。
だが、面会も一階にある談話室で15分ほどの限られたもの。
ほぼ3年、面会もできなかったため、文江さんの認知症は進んでおり、良子さんが娘であることも分からない。
面会のたび、文江さんは「ごめんなさい」「殴らないでください」「すみません」などと独り言のようにいうのです。
気になった良子さんは施設の管理者に会い、事情を聞いたが、「なんにもありませんよ」「元気で生活していますから安心してください」と説明される。
翌月も良子さんは施設に面会予約を入れて、文江さんに会いにいった。
文江さんは怯えたように「なにも言わない」「ごめんなさい」「痛くしないで」と言う。
その面会後、施設内で虐待があると良子さんは確信をした。
その後、知人の紹介で当社へご相談に来られた。
事情をうかがい、探偵も良子さんと同じ想定をした。
良子さんから正式に依頼を受け、探偵が調査を開始する。
このようなケースは面会に行った際にベットの脇に器材を設置してくるのだが、今はコロナ対策のため、入所室には入れない。
施設職員の中に内通者をつくることも検討したが、今回のケースでは情報不足でこの方法はリスクがある。
当該施設が人員を募集しているため、こちらから内偵者を送ることにした。
さっそく介護福祉士の資格を持つS君が面接に向かうことになった。
無事に採用になり、二日後から勤務となる。
実態を把握するまで1週間ほどかかった。
判明した内容は目を覆うばかりであった。
4人の職員が認知症の入所者たちに暴言をはき、強引に押し倒すなどの暴力も日常的におこなわれていたのだった。
S君は慎重に動画、音声を取得する。
さらに2週間、状況を取りまとめた。
以上を依頼人である良子さんに報告させていただく。
あまりにひどい内容に良子さんの目から涙がこぼれていた。
知らないとはいえ、母親に何年も辛い思いをさせていたと何度も言われていた。
安易な対応をすると、施設側の隠蔽もあるため、事前に弁護士に対応してもらい、警察への刑事告訴をおこなう。
同時に報道機関に情報の提供をおこなった。
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