大通公園がイルミネーションでにぎわう１２月の札幌。
安部咲さん（３３歳）から夫 大輔さん（３５歳）の行動調査を依頼される。
咲さんは大輔さんと結婚して５年目、３歳になる長男 翔太君がいる。
大輔さんの仕事はＩＴ企業でＳＥ（システムエンジニア）をされている。
半年前から大輔さんが残業で遅くなるから、職場に泊まるといって帰宅しない日が増えていた。
また、週末も仕事だといって外出していた。
咲さんは子育てに追われ、特に大輔さんのことを疑うことはなかった。
だが、先日、大輔さんの上着のポケットから一枚のプリクラが出てきた。
若い女性と大輔さんが並んで写っていた。
そして、真ん中には「ダイスケ君 ダイスキ」と丸文字で書かれていた。
咲さんは「なんだろう」と不思議に思ったが、大輔さんが浮気をしているとは思えなかった。
だが、友人に相談すると「それは浮気しているよ」と言われる。
咲さんは迷いに迷ったあげく、当社に大輔さんの行動調査を依頼された。
探偵がさっそく調査を開始する。
大輔さんの会社の前で大輔さんの退勤を待つ。
大輔さんは１８時に会社を出てくる。
地下鉄とは反対方向に歩き、途中でスーパーに入店する。
店内で２０代と思われる女性と合流して一緒に買い物をする。
そして、買い物を終えると二人は徒歩で移動し、ほどなくマンションに入っていく。
１０分後、咲さんに大輔さんからLINEが届く。
「明日まで仕上げなければならない仕事があるから、会社に泊まるね」・・・と。
やはり、大輔さんはそのマンションに宿泊し、８時過ぎにはマンションを出てきて、出勤する。
大輔さんがマンションを出てから５分後、昨日の女性も出てきた。
探偵がその女性を尾行すると大輔さんと同じ会社へ入っていった。
探偵はその後も調査を続けた。
女性の名前は久保田亜紀さん（２２歳）、短大を卒業して大輔さんの勤めている会社へ入社して２年目。
社内では大輔さんの部下になる。
おそらく大輔さんが「今日は会社に泊まるよ」と言い始めた半年前から交際をしていたようだ。
探偵から報告を受けた咲さんは動揺された。
「大輔さんを許せないという思い」と、「大輔さんと離婚になったらという不安」が交錯する。
そして、咲さんは自分自身の気持ちが固まるまで、あえて大輔さんには何も言わずに日々を過ごした。
探偵が大輔さんの浮気を報告した１０日後、
翔太君が夕方から具合が悪くなり、体温を測ると３８℃。
咲さんが大輔さんにLINEをする。
「翔太の具合が悪くなって、病院に行きたいからすぐに帰ってきて」・・・と。
翔太さんのLINEは既読にならない。
咲さんは翔太君を抱え、タクシーに飛び乗り、救急病院に駆け込んだ。
同時刻、探偵は大輔さんの後ろにいた。
大輔さんは亜紀さんとスーパーで食材の買い物をしていたのだった。
幸い、翔太君は大事にはならなかった。
病院で薬をもらい、翌日には熱も下がり、元気になった。
探偵は咲さんに昨日の大輔さんの行動を報告させていただいた。
咲さんは黙りこんで、大きな粒の涙を流された。
だが、涙があふれた目の奥に強い意志を探偵は感じた。
その３日後、咲さんは探偵が紹介した弁護士の事務所を訪れ、大輔さんには離婚の慰謝料請求、
浮気相手の亜紀さんには不貞行為の相手方として慰謝料を請求することを弁護士に委任された。
