札幌市在住の須田大貴さん(33歳)からご依頼をいただく。
依頼内容はまだあったことのない妹 真理を探してほしいとのこと。
大貴さんは高校生になるとき、両親から自分が養子であることを聞かされた。
両親からいっぱいの愛情を持って育てられた大貴さんは驚くとともに、両親にさらなる感謝をしたそうです。
その後、大貴さんは高校を卒業し、大学に進学、その後は銀行に勤めておられた。
大貴さんは自分を育ててくれた両親に日々感謝をしながらも、
自分を生んでくれた親に会いたいという思いが強くなった。
悩んだ末に両親にその旨を話した。
両親は当時の状況を覚えている限り、話してくれた。
母親は私生児として大貴さんを生んだが、事情があり、大貴さんを須田家に託された。
両親も30年以上前のことで不明なことも多かった。
大貴さんは自分で戸籍を取ってみたのだが、行き詰まり、当社に実母の所在調査を依頼をされた。
実母は井上和子さん、神奈川県に在住していた。
大貴さんは和子さんと連絡を取り合い、1年に数度は和子さんに会いに行っていた。
大貴さんが須田さんのところに養子に来られたのは3歳のころ、つまり和子さんとは3歳まで一緒にいたのです。
その記憶が少しずつ思い出してきたそうです。
大貴さんが和子さんと交流を持ってから3年後、和子さんが急性の病で亡くなられた。
大貴さんは和子さんが入院中、何度も神奈川県に足を運び、離れていた時間を埋めていた。
和子さんが亡くなる前、大貴さんに言ったそうです。
「大貴、本当にごめんね、そしてありがとう」
「私が生きているうちに大貴に会えて、過ごせた時間は本当に宝物だよ」
「もう一つ、私のわがままを聞いてほしい」
「大貴には真理という妹がいるのよ、真理も私のせいで養子になったの」
「いつか大貴が真理を探して、困っていたら助けてあげて」・・・・と。
その3日後、和子さんは旅立っていかれた。
大貴さんは和子さんの葬儀を終えた後、やはりゆっくりと思い出したそうです。
3歳の頃、自分には妹がいた・・・・・と。
そして、当社へ妹 真理さんの所在調査を依頼された。
さっそく探偵が調査を開始する。
大貴さんに可能な限り、自分の戸籍を取ってもらう。
やはり和子さんには大貴さんの妹、真理さんがいたのだ。
1ヵ月後、探偵が妹 真理さんの所在を確認する。
真理さんは長崎県におられた。
大貴さんは真理さんに手紙を書いた。
自分のこれまでのこと、実母の和子さんと会ったこと、和子さんと過ごした日々、
そして妹がいることを知ったこと、そして真理を探したこと。
10日後、真理さんから手紙が来た。
実は真理さんも養父から自分が養子であることを聞き、実母を探していたらしい。
だが、兄がいたとは知らなかったそうです。
来月、東京で会い、和子さんのお墓参りに行くそうです。
大貴さんは探偵に言いました。
一人っ子だと思って育ってきて、もう一人母親がいて、そして妹がいたなんて・・・嬉しいもんです・・・と。