札幌に初夏が訪れる6月。
埼玉県在住の山口良一さんから娘 美香さん(19歳)の家出人・失踪人調査を依頼される。
美香さんは実家に住んでおり、仕事は介護施設で働いていた。
1週間前に美香さんが「探さないでください」「落ち着いたら連絡します」と書かれたメモを残して、家出した。
良一さんと妻の幸子さんは必至に探された。
すぐに美香さんの職場に行き、事情をお話して、何か知っていないかを職場の上司にうかがった。
職場の上司の方は「美香さんは5月末で退職をしています」と言われ、良一さんは驚いた。
全く知らないことであった。
また、同僚の方から札幌に行くと美香さんが言っていたとの情報を得た。
その後、美香さんの部屋は確認すると、数着の服がなくなっていた。
引き出しの中に1枚の宅配便の送り状があった。
送り日は2月10日、品名には「チョコレート、その他」と書かれていた。
送り先住所は札幌市西区・・・・・・・102号室 名前は松田毅。
良一さんはその送り状に書かれている携帯番号に電話をするが「現在使われいない」というガイダンスが流れる。
次に良一さんはすぐに札幌にいる親戚に事情を話し、その場所に行ってもらった。
だが、住所地にあるアパートの102号室は空き家になっていた。
既に引越しをしていたようだ。
そこで手詰まりとなり、当社へ美香さんの家出人・失踪人調査を依頼された。
依頼された際の情報は
1.美香さんは札幌へ行くと言っていた
2.2月に札幌の男性にチョコレートを送っている送り状(名前、住所、電話番号)がある
※住所には現在、住んでいない、携帯番号は現在、使われていない
探偵は良一さんと協議し、まずは札幌市に在住していた松田毅という男性を探すことにした。
様々な調査を行い、2週後に松田毅氏の住所が判明される。
松田毅氏は以前と同じ西区の別のアパートに引っ越していた。
そのアパートを探偵は張り込む。
夕方、美香さんがアパートより出てきて、近所のコンビニに行く。
その映像をメールに添付し、良一さんに送信した。
すぐに娘です・・・・と返信が来た。
そして、良一さんは「すぐに連れ戻しても、家出が再発する恐れがあります」
「松田毅という男を調べてください」と指示される。
翌日より探偵は松田氏の調査を開始する。
松田氏のことがいろいろと判明する。
松田氏は以前は介護関係の仕事をしていたが、現在は無職。
年齢は25歳、昨年の11月に妻と離婚をしていた。
そのとき、6か月の子供がいたのです。
前に住んでいた場所は前妻と暮らしていたアパート、離婚を機に前妻と子供は出て行った。
探偵が調べると松田氏のネガティブな情報ばかりが入ってきた。
以上を良一さんに報告させていただく。
3日後、良一さんは埼玉県から札幌に来られた。
良一さんと幸子さんは、松田氏のアパートを訪問する。
良一さんの願いもあり、探偵も同伴させていただく。
美香さんと松田氏は驚くとともに良一さんに謝罪をした。
良一さんは松田氏に問いただした。
「未成年である美香を埼玉から札幌へ呼んだのはどういうことだ」・・・と。
松田氏はおどおどと話し始めた。
松田氏は去年の8月、SNSで知り合い、お互いが介護職であることから、親しくなった。
だが、そのとき松田氏は結婚をしていたのだが、美香さんと知り合ったことも要因で前妻と強引に離婚をする。
その後、仕事も辞め、美香さんからお金を送金してもらい、暮らしていたそうだ。
そして、引越し代も美香さんが用意した。
美香さんは子供の頃からお年玉、高校時代のアルバイト代、働き出してからの給料などをすべて貯金していた。
金額は300万円ほどあったそうです。
良一さんは話を聞けば聞くほど、松田氏に怒りがわいてきたが、その怒りを抑え、美香さんに言われた。
「まずは埼玉に戻って、1年間頑張りなさい」
「そして、1年後にまだ気持ちが変わらないのであれば、もう一度、札幌に来ることを許す」・・・と。
そして、良一さんと幸子さん、美香さんは埼玉へ帰って行かれた。
2か月後、美香さんが幸子さんに泣きながら言ったそうです。
「お母さん・・・毅君が別れたいって言ってきているの」と。
どうやら、松田氏に別の彼女が出来たそうです。
後日、探偵は、その話を良一さんからうかがった。
良一さんは「なんともあの男は・・・・・」と小さな声で言われていた。