豊平川にも初夏の暖かい風が吹く6月。
札幌市在住の小野美幸さん(34歳)から夫 一成さん(38歳)の調査を依頼される。
夫婦は長男 錬君(5歳)との3人家族。
一成さんは携帯ショップの店長。
美幸さんも会計事務所でパートとして働いている。
3か月前から一成さんの様子が変わってきた。
帰宅しても会話をしなくなり、錬君とも関わらなくなった。
元気のない一成さんに美幸さんが聞いたそうです。
「大丈夫、最近元気がないようだけど、疲れているの?」
一成さんは「仕事のノルマがきつくて、大変なんだ」「少し鬱かもしれない」
「今度、心療内科に行ってみようと思っている」と答えた。
美幸さんは「あまり無理しないで早めに病院に行こうね」と気遣った。
その後も一成さんは元気がなかった。
帰宅も遅くなり、休みの日も気晴らしに行ってくると外出をする。
美幸さんは、一成さんが少しでも楽になればと、そっと見守っていた。
ある日、一成さんのスーツのポケットから四つ折りの小さな手紙が出てきた。
「錬君、今日は楽しかった、ありがとう」
幼い子供が書いた文字であった。
美幸さんは一成さんに「何かある」と考え、当社へ依頼をされた。
さっそく探偵が調査を開始する。
木曜日、一成さんは休み。
だが、午後、気晴らしに買い物に行くといって一成さんが車に乗って外出をする。
探偵が尾行をする。
中央区のコインパーキングに車を止め、徒歩でマンションに入っていく。
3時間後、一成さんと20代と思われる女性が同マンションより出てくる。
先ほど駐車したコインパーキングに行き、車に乗り込み、走行を開始する。
車はほどなく、近所の保育園に到着する。
女性が園内に入り、男の子と一緒に出てくる。
一成さんの車に乗り込み、走行を開始する。
車はハンバーグ店の駐車場に到着し、一成さん、女性、男の子と3人で入店する。
まるで親子のようだった。
探偵はその状況を撮影する。
食事をした3人は再び、車に戻り、先ほどのマンション前に停車し、女性と男の子が降りた。
その後、一成さんは帰宅をする。
帰宅後、一成さんは「食欲がないから、ご飯はいらない」と言って食べなかったそうだ。
先ほど食べたハンバーグで満腹なのだろう。
その後も探偵は調査を続ける。
女性は一成さんと同じ会社に勤めている女性。
名前は鈴木亜優さん(29歳)、5歳の男の子がいるシングルマザーであった。
現在は一成さんも亜優さんも別々の店舗で勤務しているが、以前は同じ店舗だった。
おそらく数ヵ月前より交際をしていたのだと思われる。
以上を依頼人である美幸さんに報告をさせていただく。
美幸さんは一成さんと話し合いをした。
一成さんはすべてを認めた。
浮気がバレないように鬱のふりをしていたらしい。
美幸さんは浮気をしていたことにも怒りをおぼえたが、それよりも、我が子の錬に寂しい思いをさせ、
亜優さんの子供を食事に連れていくなどに憤った。
亜優さんの子供も自分の子供、どちらも気づつけることだ・・・・と美幸さんは一成さんに言ったそうです。
美幸さんは当面、錬君を連れ、実家に戻った。