旭山記念公園から見える札幌の景色も冬から春に変わる3月。
札幌市在住の出川裕行さん(33歳)から妻 南さん(29歳)の調査を依頼される。
裕行さんと南さんは結婚して2年、子供はいない。
裕行さんはIT企業に勤務、南さんは会社員。
二人ともコロナ禍のため、基本はテレワーク勤務となっている。
週に1度程度、会社へ行くスタイルは共通していた。
二人ともコロナ感染には注意を払っており、極力外出を控えていた。
食料品や日用品も宅配を利用したり、必要なものはネットで購入していた。
テレワークが長期化し、裕行さんも南さんもストレスがたまり、些細なことで口論となることもあった。
「最後は協力してコロナを乗り切ろう」と仲直りをしていたのだった。
だが、ある日、南さんから突然、離婚を迫られた。
裕行さんは「僕の何がいけないのかを言ってくれ、反省して直すから」と南さんに言うのだが、
南さんは「価値観が違う、未来は別々に生きていこう」と具体的なことは言わない。
また、南さんはテレワーク中は出勤日もあるのだが、今までは定時に終わり、帰宅していたのだが、
最近は午後10時過ぎになることが多くなってきた。
裕行さんは「もしや」と思い、当社へ南さんの行動調査を依頼される。
さっそく探偵は調査を開始する。
南さんの出勤日、朝から南さんを尾行する。
南さんは自宅より地下鉄に乗り、中央区の会社に出勤する。
午後5時30分、南さんが勤務先のビルより出てくる。
徒歩で移動するが、地下鉄には入らない。
そして、停車している車の助手席に乗り込む。
探偵はその車を追う。
車はファミレスの駐車場に入場する。
助手席から南さん、運転席から20代の男性が降り、2人は同店に入っていく。
探偵も入店して、2人を撮影する。
食事を終えた二人は再び車に乗り、走行を開始する。
車はススキノのホテル駐車場に入り、二人は同ホテルに入っていく。
2時間後、二人は手をつなぎながらホテルより出てきて、車に乗り込み、走行を開始する。
車は南さんの自宅マンション付近のコンビニ駐車場に停車、素早く南さんが車を降りた。
その後、南さんが自宅へ帰宅する。
翌日、裕行さんが出勤日であった。
会社の退勤後に探偵は裕行さんと会い、昨日の南さんの動向を報告した。
裕行さんは愕然とされた。
裕行さんにとっては「もしや」であり「まさか」の結果だった。
探偵は裕行さんに尋ねた。
「この男性に見覚えはありませんか?」と。
裕行さんは「う~ん、どっかで見たような気がしますが・・・・」と思い出せないようだった。
引き続き、探偵が調査を続ける。
南さんと男性はその後も会っては、同じように食事をしてホテルへ行くというデートをしていた。
男性の名前は阿部雄太さん(27歳)、職業は宅配会社のドライバー。
南さんの自宅マンションも阿部さんの配達エリアだった。
探偵の報告を聞いて、裕行さんも思い出した。
「この男はうちに配達に来ています」「僕も受け取りをしたことがあります」・・・・と。
おそらく、何度も宅配に来ている際に南さんは阿部さんと親しくなったのだろう。
後日、裕行さんは南さんと話し合いを持った。
南さんは浮気については謝罪したが、離婚の意志は変わらないと言う。
その後、裕行さんは離婚を決断、南さんと阿部さんに慰謝料の請求をした。