旭川平和通買物公園にも夏の暑さが降り注ぐ7月。
当興信所へ吉田樹里さん(37歳)から夫 省吾さん(38歳)の家出人・失踪人調査を依頼される。
省吾さんは車販売会社の事務職として働いている。
省吾さんは3年前に鬱病になり、半年ほど休職していた。
もともと省吾さんは営業職であったが、復職の際は会社の配慮もあり、総務課に移動となった。
その後は通院をしながら、生活をしていた。
だが、一週間ほど前、夕食を食べているとき、省吾さんがふいに「ごめんな」とポツリと言った。
樹里さんは「何が?」と聞き返すも、省吾さんが「ううん、なんでもない」と答えた。
そのとき、樹里さんはなんともいえない不安に襲われた。
火曜日は省吾さんの仕事が休み、そして看護師をしている樹里さんも火曜日は夜勤明けであった。
樹里さんが夜勤明けで帰宅すると、テーブルの上に一枚の置手紙があった。
「今までありがとう」
「僕は生きるのに疲れ果ててしまった」
「本当に樹里には感謝している」
「こんな僕でごめんね」と書かれていた。
樹里さんはその手紙を見て、震えてしまった。
さっそく、樹里さんは警察署へ駆け込んだ。
だが、対応してくれた警察官は「家出人・失踪人の届出」を受理しておきます・・・と。
警察官はさらに「職務質問などでご主人を発見した際は連絡をします」
樹里さんは「警察では夫を探してもらえないのですか?」と尋ねるが、
警察官は「事件性がなく、自らの意志で失踪しているため、警察の対応はそうなります」と答える。
自宅に戻り、省吾さんの会社関係の方、実家の両親、省吾さんの友人、知人などに連絡をするが、決め手になる情報がない。
その後、樹里さんの兄妹、省吾さんの両親、友人、知人などが旭川市内を探しまわってくれる。
幸い、省吾さんは車に乗って失踪しているため、省吾さんの車を見つけることが省吾さんの発見につながる。
そのため、旭川市内のパチンコ店の駐車場、緑町にあるイオンモールの駐車場、永山にあるウエスタンパワーズなどの駐車場など様々な場所を探してくれる。
省吾さんの失踪5日後、樹里さんは当社へ省吾さんの家出人・失踪人調査を依頼される。
さっそく探偵が調査を開始する。
当初は、当麻町、深川など旭川市外の探索をおこなう。
2日後、省吾さんの知人が樹里さんに連絡をくれた。
札幌で省吾さんの車とすれ違ったとのこと・・・
その情報が入り、探偵は札幌方面に調査をシフトした。
調査方法は「深夜パトロール」
午後10時、調査員6名が2台の車で札幌を2分割してパトロール。
24時間営業のスーパー、ゲームセンター、24時間営業のファミレスの駐車場 など等。
家出人・失踪者の心理として、夜はやはり少しでも人の気配があるところで過ごす傾向があります。
札幌調査を開始して6日目の深夜3時、札幌市西区のゲームセンターの駐車場の片隅に停めてある省吾さんの車を発見する。
おそらくエンジンがかかっている状況を勘案すると、車内に省吾さんが乗車していると思われる。
探偵は深夜ではあったが、樹里さんに連絡をさせていただく。
省吾さんの車の発見などを報告させていただく。
樹里さんはすぐに姉と一緒に旭川から札幌に来てくれるとのこと。
樹里さんの到着まで、探偵は省吾さんの車を囲むように調査車両を配置する。
3時間後、樹里さんが到着する。
少し離れたところで探偵と樹里さんが打ち合わせをおこない、樹里さんが省吾さんの車に行き、省吾さんと話をすることになった。
不意に省吾さんが逃げることを想定して、探偵が更に省吾さんの車を至近距離で囲い込む。
10分後、樹里さんは探偵のところに戻ってこられた。
省吾さんも見つけてもらったことに安堵していたそうです。
樹里さんはお姉さんに自分の車を運転して帰ってもらい、樹里さんは省吾さんの車を運転して帰ることになった。
2日後、樹里さんから連絡をいただく。
省吾さんは、鬱症状が再発して「死にたい」と常に思うようになり、失踪したそうです。
省吾さんは当面、入院をして治療に専念されることになった。