国見峠にも秋の気配が訪れる10月。
深川市在住の高橋勇也さん(42歳)から婚約者 佐々木和美さん(35歳)の身辺調査を依頼された。
勇也さんは農業を営んでおり、和美さんとはマッチングアプリで知り合い、2年間の交際をしている。
和美さんは3年前に離婚され、小学校2年生の長女 萌ちゃんがいるシングルマザー。
勇也さんは萌ちゃんのことは話で聞いているだけで会ったことはない。
和美さんはもともと札幌に住んでいたが、離婚後は旭川の実家に戻り、両親と暮らしている。
和美さんはコールセンター、ドラッグストアなどの仕事を掛け持ちしているそうでなかなか時間がとれず、勇也さんは会うことはできない。
金銭面で大変な和美さんを勇也さんは毎月10万円の援助をおこなっており、その他にも様々な理由で金銭の援助をおこなっていた。
あるとき、和美さんと会ったことのある友人が旭川の近文にある大型商業施設で
和美さんと男性、男の子2人が手をつなぎながら歩いているのを見たそうだ。
その話を友人は勇也さんには伝えた。
勇也さんも最近は和美さんの様々な違和感を感じていた。
電話が通じるのは昼間だけ、LINEの返信も午後3時以降はこない。
また、急なお金の援助も「萌が交通事故にあって入院したから治療費がいる」、「お財布を落として給料日までお金がまったくない」など
不自然な理由が多くなっていった。
また、萌ちゃんに合わせてほしいといっても、「結婚するまで待って」と言われる。
勇也さんは友人の後押しもあり、探偵に和美さんの調査を依頼された。
さっそく探偵が調査を開始する。
まずは勇也さんが聞いている和美さんの住所を確認するが、まったく別の家庭が住んでいた。
その後、和美さんの断片的な情報を元に探偵の特殊調査をおこない、和美さんの身元が判明した。
和美さんの情報は名前以外は全部嘘だった。
長女 萌ちゃんは存在していなく、子供は長男、次男の2人、女の子はいない。
また和美さんはそもそも既婚者であり、離婚などしていなかった。
和美さんは勇也さんを含め、さらに2名の男性と同じような交際をして、お金の援助を受けていた。
完全なる結婚詐欺である。
以上を依頼人である勇也さんに報告させていただく。
勇也さんは依頼の際にある程度は想像していたが、思っていた以上に嘘が多く困惑していた。
勇也さんが和美さんに援助していたお金の合計は400万円を超えていた。
勇也さんは弁護士に委任し、民事で和美さんに対して金銭の返済要求をされた。