上川神社にも春の気配が感じられる3月。
旭川市在住の東幸隆さん(55歳)は注文住宅販売の会社を経営している。
従業員は8人、うち5人の営業社員が働いている。
ここ1年、会社の業績も下降を続けていた。
また、東さんの耳に自社の営業社員が日中、パチンコ店やサウナで見かけるという噂が入ってきていた。
常に営業社員の日報なども確認するが、それだけでは実働が見えてこない。
かといって社員にノルマをかけて、ふるいにかけても人材は育たない。
東さんは考えた末に当社へ社員の勤務時間内での職務遂行状況の調査を依頼された。
調査対象者は営業社員 5人全員。
まずは一人目、林さん(33歳)、入社1年目。
以前は飲食業で働いていたが、コロナ禍で退職をされ、営業職として採用された。
林さんは日々、マイホームセンターに来られたお客様を丁寧に訪問していた。
営業が未経験のため、なかなか契約にはいたらないが、懸命に仕事をしている状況が確認された。
2人目、中田さん(28歳)、大学を卒業して新卒で入社6年目。
外回りもときおりサボってはいたが、ポイントをついた営業方法で成績も順調だった。
3人目、木下さん(38歳)、同業他社から転職してきて、10年目。
木下さんは、ベテランだけあり、そつなく仕事をしていたが、ときおりパチンコ店に行って遊んでいるのが確認された。
4人目、阿部さん(43歳)、入社11年目。
阿部さんは、まったく仕事をしていなかった。
朝礼後、営業に出かけるが、そのまま自宅に帰り、午後6時まで在宅する。
その後、帰社するパターンがほとんどであった。
少し阿部さんのことを掘り下げて調べたのだが、どうやら阿部さんは奥さんの実家の稼業を継ぐことになり、
タイミングを見て辞表を出すつもりでいたようだった。
5人目、斉藤さん(51歳)、斉藤さんは東さんが会社を起業したときからの従業員。
斉藤さんには、探偵も驚くことが判明した。
斉藤さんはダブルネームで仕事をしていたのだった。
同業他社の名刺も持ち、お客の振り分けをおこなっていた。
おそらく6:4で他社の契約にしていたようだった。
以上を依頼人である東さんに報告させていただく。
東さんも驚くとともに困惑していた。
そして阿部さんは、退職勧奨をおこない、退職をさせる。
斉藤さんは懲戒免職、そして他社で得た利益などにおいて民事訴訟を検討することとなった。