時計台に初夏の陽ざしが降り注ぐ6月。
札幌市在住の横井圭太さん(33歳)から、妻 梨乃さん(29歳)の行方調査を依頼される。
横井家は1歳になる長男 蓮君との3人家族。
2ヵ月前、突然、梨乃さんが蓮君を連れて、家を出ていった。
圭太さんが家に帰ると梨乃さんからの書置きがあった。
「もうアナタとはやっていけません」
「後日、弁護士から手紙が届きます」
「弁護士と話し合いをしてください」・・・・との内容だった。
3日後、梨乃さんの代理人と称して弁護士からの書面が届いた。
内容は圭太さんからのDV、モラハラが原因で離婚を要求する内容だった。
圭太さんは、すぐに梨乃さんの弁護士に連絡をする。
「とにかく一度、妻と話し合いをさせてほしい」・・・・と。
だが、梨乃さんの弁護士は「それはできない」とまったく応じてくれない。
圭太さんは探偵に依頼をされる前に自分なりに梨乃さんを探していた。
梨乃さんの実家に連絡するが義母は「私たちはまったく分からない」と繰り返すだけだった。
区役所に行き、梨乃さんの住民票を請求するが、閲覧制限をかけられ、住民票も開示されない。
そして当社を訪れ、梨乃さんの所在調査、現状の生活状況の調査を依頼された。
さっそく探偵が調査を開始する。
調査を進めていくうちに驚くべき事実が出てきた。
梨乃さんと蓮君は男性の家に引越しをしていたのだった。
男性は鈴木省吾さん(30歳)、梨乃さんの元カレだった。
梨乃さんは、蓮君を保育園に預けるためにも、住民票は移動しなければならなかった。
だが、住民票を移動すると圭太さんに居場所がバレてしまう。
それで圭太さんからのDV、モラハラをでっち上げて、戸籍の閲覧制限をかけたのだった。
また、速やかな離婚をするため、家を出る前に弁護士を雇っていたのだった。
以上を依頼人である圭太さんに報告をさせていただく。
圭太さんは驚いてはいたが、どこか想像をしていたようだった。
圭太さんが梨乃さんと知り合ったとき、梨乃さんは省吾さんと交際中だった。
だが、省吾さんと別れ、圭太さんと交際し、結婚に至った。
そして圭太さんは迷った末にある決断をされた。
蓮君と自分との親子関係のDNA鑑定だった。
10日後、鑑定の結果が出た。
「生物学的親子関係不存在」
蓮君は圭太さんとの血縁はなかったのだった。
圭太さんは弁護士に委任し、全てをまかせた。
3ヵ月後、離婚が成立する。