常盤公園にも春風が吹く3月。
旭川市在住の伊藤和明さん(35歳)から調査を依頼される。
和明さんは団体職員として働いている。
一週間前、仕事を終えて家に帰ると、窓に明かりがついていない。
妻と子供は買い物にでも行っているのかと思いながら、マンションに入っていく。
室内灯の電気をつけても、真っ暗。
和明さんが、スマートフォンのライトを照らしてみると部屋にはなにもない。
テレビも冷蔵庫もソファーもベットも何もない。
そして、天井についていたシーリングライトもなくなっている
残っていたのは、和明さんの衣類、そして部屋の真ん中にテーブルだけがあった。
テーブルの上に一枚の書置きのような手紙がおいてあった。
スマートフォンのライトで手紙を読んでみる。
内容は「私は家を出ていきます」、「今後については調停で話し合いをします」、
「婚姻費用は毎月10万円を私の口座に振り込んでください」、「アナタとの結婚生活に疲れました」・・・・と書いてある。
和明さんは呆然としてしまった。
だが、気を取り直して、妻に電話をするがつながらない。
そして妻の実家に電話をするが、茜さんの母親は「何も分からない」と話すだけだった。
その日、和明さんは着替えの衣類だけを持ってホテルに泊まった。
翌日、和明さんは職場に休みをもらい、当社へ妻 茜さん(34歳)、長女 凜ちゃん(5歳)、二女 咲ちゃん(1歳)の家出調査を依頼された。
当初、探偵は旭川市内にいると思っていた。
だが、いっこうに茜さんたちの情報が出てこない。
その後も探偵が調査を続けた。
依頼をお受けして3週間後、茜さん、凜ちゃん、咲ちゃんの住所が判明した。
茜さんたちは、旭川から出て、札幌にいたのだった。
札幌市東区にアパートを借りて住んでいた。
だが、これは単純な家出、失踪ではなかった。
茜さんのアパートにほぼ毎日、男性が訪れるのであった。
更に調査をおこない、全容が見えてきた。
茜さんは、その男性(北川慎吾さん)と2年ほど前から不倫をしていた。
出会いはおそらくマッチングアプリだと思われる。
そして、計画的に札幌でアパートを借り、家を出る準備をしていたのだった。
探偵は以上を依頼人である和明さんに報告をさせていただく。
和明さんも想定していたことだったが、やはり事実を受け入れることに困惑された。
更に和明さんが愕然とする事実が分かった。
二女の咲ちゃんが和明さんとのDNA上の親子関係がなかったのです。
おそらく茜さんと浮気相手の北川氏との間の子供であろうと思われる。
和明さんは弁護士に委任し、茜さんとの離婚協議、北川氏への慰謝料請求などについて進めることを決断する。