手稲山に春風が吹き始める3月。
札幌市在住の木村優子さん(28歳)から盗聴・盗撮調査を依頼された。
優子さんは夫 直人さん(35歳)と結婚して2年、優子さんは看護師、夫は医師。
二人の間に子供はいない。
3年前、優子さんと直人さんは職場で知り合い、交際1年を経て、結婚をする。
だが、結婚直後から直人さんの浮気癖がおさまらず、そのたびに優子さんは悩んでいた。
別居前には、職場の新人看護師と浮気をしていた。
優子さんは悩んだ末に直人さんとの離婚を決断された。
だが、優子さんから離婚を迫られた直人さんは、離婚を受け入れない。
さんざん浮気を繰り返していた直人さんだったが、いざ優子さんに離婚を迫られると拒否をしたのだった。
そんな矢先、直人さんが医局の人事で旭川の病院に移動することになった。
直人さんは単身で旭川に行くことになった。
そのため、離婚の話し合いも途切れてしまったのだった。
旭川に行ってからは、頻繁に直人さんから連絡が入るようになった。
以前は仕事が忙しいと言って数日、家に帰らないこともあったが、
優子さんが離婚を切り出してからは、人が変わったように優子さんに執着するようになったらしい。
優子さんが実家に帰っていた翌日には、直人さんから「昨日はどこかに行っていたの?」と連絡がくる。
夜勤の翌日なども、「昨日は夜勤だったの?」と連絡がくる。
友人と食事会をして、帰宅するとすぐに電話がくる。
優子さんはそんな直人さんからの連絡のタイミングに「もしや盗聴されている?」と考えるようになった。
そして当社へ盗聴調査を依頼されたのだった。
だが、優子さんは札幌在住、直人さんは旭川在住。
盗聴をするには距離がある。
探偵はある仮説を立てたうえで調査をおこなった。
優子さんの休日、午後から優子さんのマンションにて盗聴調査をおこなう。
結果、盗聴器は発見されなかった。
だが、タンスの裏側にネットワークカメラが置かれていた。
タンスの裏のため、カメラは何も映らない角度であったが、音声は聞かれる設定をされていた。
そのカメラを見た優子さんは少し震えていた。
探偵の仮説通り、ネットワークカメラが設置されていたのだった。
優子さんは翌日、弁護士に委任し、直人さんとの離婚協議を進めてもらうことになった。